消費者行動テキスト


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Evans, M., Jamel, A., and Foxall, G. (2006). Consumer behavior. Wiley. 388Pp.

 通常のテキストの半分くらいのページ数である。だから、詳述はされていない。全体を掴むのにはこの程度で十分であろう。日本の教科書を倍程度のボリュームがある。ただし、いくつか工夫もされている。
 章の目的、章最後のキーワード、問題があるが、その他に、本文の間にthinkbox があり、日常の事例を考えさせようとしている。またWWWへのリンク先も本文の間にいろいろ入っていて、何を参考にするのかの註もいれている。部の最後には関連論文が載せてあり、学術論文のスタイルが分かるようになっている。

 Part 3 において9 新製品購入、10 反復、忠誠、関係購買、データベース消費者行動、11 消費者の間違った行動 と特定のテーマや新しい視点の章がある。イギリスのテキスト。  http://www.wiley.com/go/evans

消費者中心主義論文集 Monitor on Psychology 2004, No.6.

http://www.apa.org/monitor/jun04/consumetoc.html
Consumerism
Consumerism and its discontents 物質主義と満足および物質主義になるのは
Too many choices? 下に解説
Protecting children from advertising
APA task force recommendations
Driving teen egos-- and buying-- through 'branding' ブランド好きのティーンズ
Maxed out: why do somesuccumb and others steer clear?
The value of money セラピーの問題

Too many choices?
最近,「商品の選択肢が多いことは幸せ?」ということについて論文がいくつかでて
いるようです.

テストの択一問題では選択肢が少ない方が幸せなのは自明です.商品の選択場面にお
いては選択肢が多い方がいいように思えますが,そうではないようです.

Monitor on Psychology 6月号に
Too many choices?
http://www.apa.org/monitor/jun04/toomany.html
というのにいくつかの論文の要約紹介があります.

このれに紹介されている論文の一つをわかりやすく本人が紹介したのが,
シュワルツ 2004 豊かさが招く不幸 日経サイエンス, 34巻7号(2004年7月号)です.

http://www.nikkei-bookdirect.com/science/page/magazine/0407/unhappiness.html

ここでは,満足化の人(いわゆる経営人)と最大化の人(いわゆる経済人)というタ
イプ分けをして,最大化の人のほうが不幸だそうです.また,選択肢が多いほど選択
したものの価値が下がる.等

シュワルツの紹介は日経サイエンスの記事がいい.この人はグラフや表を使わない人
らしい.Journal of Personality & Social Psychologyの論文にはグラフが一つ,本
では挿絵はあるがグラフは0である.日経サイエンスは選択肢によって引き起こされ
る感情の説明でKahneman & Tverskyの価値のグラフに模した感情のグラフがある.

Driving teen egos-- and buying-- through 'branding' ブランド好きのティーンズ
主として Branded : the buying and selling of teenagers / Alissa Quart. -- Perseus, 2002
(ブランド中毒にされる子どもたち : 「一生の顧客」を作り出す企業の新戦略 / アリッサ・クォート著 ; 古草秀子訳. -- 光文社, 2004) の紹介

博報堂生活総合研究所 (2003). モノの意味事典. 博報堂生活総合研究所. 383 pp. with CD-ROM, DVD

博報堂生活総合研究所の報告書である。
121品目のモノに感じている意識や不満,願望を尺度と自由回答から測っている。首都圏40km件。15歳〜69歳240サンプル。

理想のモノメジャー。31形容詞を因子分析した,elegant,friendly, energetic, smart, calm の5尺度。そこから類似度等計算。
我が家のモノの法則調査,一緒になったらいいな調査,モノに対する感情調査など。これはサンプルがそれぞれ違う。

大雑把に掴むには本を読む。細かな点はcd-rom を読む。イメージをリアルに掴むにはdvdを見ることになる。CD-ROMからでは本にまとめていることはわからない。

最も大切なモノ
1位 携帯電話,テレビ
3位 パソコン,フォトアルバム

自分らしさを映し出しているモノ
1位 普段着
2位 鏡
3位 パソコン,植物

なんかつっこみをいれたくなる結果がでてますね。

本を丁寧に読むと,いろいろヒントがでてくる。

この手の考えの本としては,
Dichter,E. (1964). Handbook of consumer motivation: The psychology of the world of objects. McGraw-Hill.
Mihaly Csikszentmihalyi (著), Eugene Rochberg-Halton (著)(1981). The Meaning of Things: Domestic Symbols and the Self. Cambridge Univ P.
などがあるが,趣向が違っている。


パコ・アンダーヒル(鈴木主税訳) (2001). なぜこの店で買ってしまうのか−ショッピングの科学. 早川書房. 348 pp.

(Underhill, P.(1999). Why we buy. Touchchstone Book.)
第3部にショッピングの統計的研究がある。しかし,数値はあまり引かれていない。調査データに基づいたことばによるまとめが随所にある。男女の違いとか「老眼鏡にはまだ早い」などのセグメントによる攻め方などがある。コンサルタントらしく,いろいろ細かな点の指摘がある。改善法のヒントを得るのにいい手引きとなる。

webplus による目次
bk1の書評
amazon.co.jp の書評

本間理恵子 (2003). 買物脳―成功する企業になるための5つのキーワード. 主婦の友社. 239 pp.

買物をするときに男脳型と女脳型がある。男脳型女脳型を診断するテストがついている。それぞれの特徴を5つあげている。そして,それぞれの脳型の反応の仕方と利用の仕方を詳しく展開している。

男脳女脳
成果快楽
スペックイメージ
理屈直感
モノヒト
征服共存

例えば接客における女脳変換の4箇条として
(1)お客様との心理的距離を把握し,少しずつ親しくなろう
(2)私はこのお店のたった一人の客,と思わせる丁寧な接客を心掛けよう
(3)店員一人一人の個性や心意気をかってもらおう
(4)女脳は背中を一押ししてくれる,その一言を求めている

基本的に男脳は機能,女脳は経験である(機能vs経験参照)。それよりも深く考察している点がいい。
 また,ファッション店選択理由において,DC店より高価品を中心に扱っている店を利用するモノが多く女脳型であるのに対して,大衆的な通常のファッション店の利用者は男脳型が多いといえる。当時流行のDC店は両者まじっている(4 店舗選択の顕著な属性も)。
 機能vs経験の分け方は重要である。ただ,女性の化粧品の広告は男脳タイプが多いのにたいし,男性の化粧品の広告には女脳型が多いのには注意する必要がある。
 この分類はあくまでタイプであって,それはヒトによって,商品によって変わってくるであろう。また,製品のライフサイクルによっても違ってくる。製品の初期には機能であるが成熟商品になると経験の色とかデザインが重要になってくる。
 この本をよんでいろいろ考えてみるのがいいだろう。発想の手助けになる。
 この手の意識中心の研究には落とし穴があることにも注意が必要だ。被験者は自分の行動ではなく思い浮かんだことを答えていてそれが検討はずれなこともある。アンダーヒルのように行動によるデータ収集も必要である。

webplus の目次 amazon.co.jp のほうが詳しい
amazon.co.jp 目次および書評
bk1 まだ書評がない

Schiffman,L. and Kanuk, L. (2003). Consumer Behavior, 8/E. Prentice Hall. 688 pp.

2003/8/13
webサイト資料テスト
発行年は2003年著作権は2004年という本だ。  目次

意思決定論は他の本に比べて弱いが,セグメンテーションや普及についてそれぞれ1章設けられていて,マーケティングの概念に密着しようとしている。この点はいい。

needs, wants, desire については分類を放棄してしまっている。などなど見ていると心理学の概念を羅列的に並べているだけで統合する気はないようだ。これは現在に心理学のテキストにもよくある記述の仕方である。ただ,それらの概念がマーケティングへどう応用できるか,具体例が広告で示されている。

そのほか興味深かったのが,家族のライフサイクルのなかで伝統的家族のライフサイクルと非伝統的な家族のライフサイクルとに分けている点だ。これは使える。

以前から使っている,購買または消費意思決定の4つのタイプが意思決定の中心となっている。前は最初に説明していたのを今回は最後の16章に持ってきている。
web site で簡単なテストと採点をしてくれる。

ジュリエット B. ショア(森岡孝二監訳)『浪費するアメリカ人−なぜ要らないものまで欲しがるか』岩波書店 (2000)

books で説明している。日本にも適用できる。