これは講義中に提示した素材を元にしたものです。若干の変更を加えています。ここにある以外の説明をしていますので注意してください。
第4回1999年4月20/27日
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2章 消費者行動への(心理学的)接近(その2)
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ディヒター
中産階級に支配的な動機
香川県志度町の調査
3節 消費者行動研究の推移
4節 消費者行動研究の方法
5節 消費者行動の概念モデル
1 消費目標達成と購買意思決定
2 概念モデルの意義と問題点
6節 消費者意思決定の概念モデル
1 ハワード=シェス・モデル
2 Engel, Blackwell, Miniard (EBM) model
7節 消費者をどう見るのか
ここでディヒターや調査結果がでてくるのは3節と4節を補うため。モチベーション・リサーチは仮説づくりとい意味ではおもしろい。調査は仮説のチェックのためという機能が重要。
ディヒター,E.『欲望を創り出す戦略』
ダイヤモンド社1964(1960)
《根本的葛藤》
┏━━━━━━━━━━━━━┓ ┏━━━━━━━━━━━━┓
┃現状を維持したい ┃ ┃世界の変化を挑戦だと思っ┃
┃安楽な胎内に戻り隠れたい ┃《−》┃て世界に立ち向かっていこ┃
┃運命として現状に甘んじたい┃ ┃うとする欲望 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━┛ ┗━━━━━━━━━━━━┛
たいがいの人は買物をするのが好きだ
→人に創造力を働かせる機会を与える。
ある商品を選択することで、自分には心の奥底の欲望を表現する能力があることを、自ら実証しようとしている。
そうすると,売り手側の工夫は次のようなこと
消費者がある商品の買物をするにいたったのは、結局自らの如才なさ、想像力そして創造力を働かせた結果なのだ、という気持ちをもてるようにしむける。
ちょっと寄り道
中産階級に支配的な動機
@創造性 さじ加減ができる
A富裕の道徳 ほかの重要な活動に費やす時間を創り出す。そのために単調な労働から解放する。
B共同の意識 家族の行動。仲間入り。真実を知らせて欲しい
C幸福と娯楽 人生とは楽しむところなり
今の日本人の考え方に似ている。
ディヒターのいうように,買物は好き=>楽しいのか?
調査または実験にもっていく。
調査へ。買物が好きー>楽しければどうなるか。
項目作成:(a)全体を知りたい場合は比較的ラフな設計もある。
(b)個人を知りたい場合,項目作成は慎重な吟味が必要。
香川県志度町の調査(1989.1.16〜23)
2108人
地域小売り商業消費者関連事業(平成元年3月)ふれあい事業推進連絡協議会
・志度町商工会議所
以下のグラフでは講義ではなかった欠損値も入っています。欠損値のデータは無視してください。
(1) 買物は楽しい/めんどう
楽しい:女性81% 男性43% グラフ
(2) 買物は短時間/じっくり(グラフ1 グラフ2
(3) 買物は義務/センス発揮の場(グラフ)
(4) いろいろな商品から選びたい/選ぶのは簡単にしたい(グラフ)
(5) 全部+方向 女性32% 男性14%
24歳以下 女性 67% 男性42%
クロス表
| PLUS
| 合計
|
---|
+
| −
|
---|
SEXAGE2
| 女性 -24
| 度数
| 59
| 30
| 89
|
---|
SEXAGE2 の %
| 66.3%
| 33.7%
| 100.0%
|
---|
調整済み残差
| 9.1
| -9.1
|
|
---|
女性 25-44
| 度数
| 186
| 469
| 655
|
---|
SEXAGE2 の %
| 28.4%
| 71.6%
| 100.0%
|
---|
調整済み残差
| 2.3
| -2.3
|
|
---|
女性 45-
| 度数
| 194
| 481
| 675
|
---|
SEXAGE2 の %
| 28.7%
| 71.3%
| 100.0%
|
---|
調整済み残差
| 2.6
| -2.6
|
|
---|
男性 -24
| 度数
| 15
| 22
| 37
|
---|
SEXAGE2 の %
| 40.5%
| 59.5%
| 100.0%
|
---|
調整済み残差
| 2.2
| -2.2
|
|
---|
男性 25-44
| 度数
| 40
| 288
| 328
|
---|
SEXAGE2 の %
| 12.2%
| 87.8%
| 100.0%
|
---|
調整済み残差
| -5.9
| 5.9
|
|
---|
男性 45-
| 度数
| 36
| 288
| 324
|
---|
SEXAGE2 の %
| 11.1%
| 88.9%
| 100.0%
|
---|
調整済み残差
| -6.3
| 6.3
|
|
---|
合計
| 度数
| 530
| 1578
| 2108
|
---|
SEXAGE2 の %
| 25.1%
| 74.9%
| 100.0%
|
---|
パーセンテージだけを見ていると調査結果を見誤ることもある。つまり,小サンプルのパーセンテージと大サンプルのパーセンテージでは数字のもつ意味が異なる。小サンプルの場合は,数字そのものの信頼性は高くない。そのような点を考慮したのがいわゆる偏差値というやつだ。小サンプルの場合は,分散が大きくなって真ん中に近いように評価する。そんなしくみが調整済み残差だ。これは0が偏差値の50点に対応し,1.96つまり,2.0が60点,-2.0が40点に対応している。
24歳以下は男女ともサンプル数が少ない。それでも女性の24歳以下ははっきりとプラス方向にかたよっている。男性の24歳以下は女性の25歳以上よりもプラス方向に偏っているが,これを過大評価しないほうがいい。しかし,男性の25歳以上に比べればはっきりとプラス方向によっている。
都市経験と女性の場合関係する。男性は都市経験と関係ない。
(この1年間で行ったことのある都市(京阪神,東京・横浜)+(大都市で買物をしたことがある(10回以上)=都市経験多 中(1つ)少(0)
クロス表
| PLUS
| 合計
|
---|
+
| −
|
---|
TOKAI3
| 女性都会経験多
| 度数
| 76
| 97
| 173
|
---|
TOKAI3 の %
| 43.9%
| 56.1%
| 100.0%
|
---|
調整済み残差
| 5.9
| -5.9
|
|
---|
女性都会経験中
| 度数
| 179
| 372
| 551
|
---|
TOKAI3 の %
| 32.5%
| 67.5%
| 100.0%
|
---|
調整済み残差
| 4.6
| -4.6
|
|
---|
女性都会経験少
| 度数
| 184
| 508
| 692
|
---|
TOKAI3 の %
| 26.6%
| 73.4%
| 100.0%
|
---|
調整済み残差
| 1.0
| -1.0
|
|
---|
男性都会経験多
| 度数
| 24
| 138
| 162
|
---|
TOKAI3 の %
| 14.8%
| 85.2%
| 100.0%
|
---|
調整済み残差
| -3.2
| 3.2
|
|
---|
男性都会経験中
| 度数
| 40
| 261
| 301
|
---|
TOKAI3 の %
| 13.3%
| 86.7%
| 100.0%
|
---|
調整済み残差
| -5.1
| 5.1
|
|
---|
男性都会経験少
| 度数
| 27
| 197
| 224
|
---|
TOKAI3 の %
| 12.1%
| 87.9%
| 100.0%
|
---|
調整済み残差
| -4.8
| 4.8
|
|
---|
合計
| 度数
| 530
| 1573
| 2103
|
---|
TOKAI3 の %
| 25.2%
| 74.8%
| 100.0%
|
---|
男性は都市経験とあまり買物に対する買物感情プラス方向とは関係しない。女性は都市経験の少ないものが買物感情マイナスの方向に傾く。年齢との作用があるので,都市経験をそれほど高く評価するべきではないが,ちょっとおもしろい結果。
比較することによって言える。
女性は男性より買物を楽しんでいる。
24歳以下は25歳以上よりも買物を楽しんでいる。
ただし,1989年の志度町において。
さらにこの限定をとった仮説にし,調査してみる。→帰納法的。
3節 消費者行動研究の推移 p28
1. 広告研究 (単なる心理学の知見の適用)
p30 Muensterberg(1913)はインターネットで読むことができる.ここをクリック
また,Starch(1927)('Advertising principles' ['Principles of advertising'1923の抄録版] 復刻版が香川大学図書館にある)を読むと,Scottなどが広告の心理学実験を行っていることがわかる.
2. モティベーション・リサーチ
3. 実証性・厳密に統制された実験や調査(近代,科学)統計学
4. 情報処理パラダイム(モデル・観察)
5. ポストモダン的研究(新観察)アクロスの定点観測
4節 消費者行動研究の方法
(1)面接法(モティベーションリサーチ)
(2)観察法(定点観測=ポストモダン)基本
(3)プロトコール分析(情報処理モデル)
(4)プロセス分析法(実験観察法)
(6) 質問紙調査(内観)
「自分自身の意識経験の過程を心理学の直接のデータと見なし,それを観察すること」
(中島ほか(1999). 心理学辞典.有斐閣)
(7) POSデータ(行動観察)
(8) 心理生理学的方法(実験法,反応観察)
実験者のコントロール
被験者の主観性・指標の客観性
統計等の処理法
事前計画性
質問紙(アンケート)調査(内観)
・ 観察・実験
→詳細は消費者研究法
5節 消費者行動の概念モデル
1 消費目標達成と購買意思決定
問題解決行動として位置づけ,意思決定過程を中心問題とする。
2 概念モデルの意義と問題点
モデルは何らかの類比。メタファー。
人間は時計,コンピュータなど。
フローチャート的にモデル化するとき
コンピュータのプログラムを組むときは「機能」をボックスに入れる。
しかし,曖昧な領域でモデル化というよりも図式化しようとするとき,コンピュータのフローチャートのように書いているようでもボックスは「機能」ではないことが多い。そこでは概念図式が使われている。
(M.ドゥ・メイ『認知科学とパラダイム論』産業図書1990(1982)p149-160)
概念図式:それがなければお互い無関係なままの観察結果のなかからあるパターンを明るみに出す」(クーン)=>知識の体系化のための枠組み 例:態度,意図
6節 消費者意思決定の概念モデル
昔の単純モデル 1897 からといわれる
AIDA attention→interest→desire→action
これにsatisfaction をつけた AIDAS などたくさんのバリエーションがある.
情報処理過程または売りつけるときの説得過程
もうひとつ問題解決過程のモデルが1923からある(Strong,1925より).
1 ハワード=シェス・モデル
入力 → 生体 →出力
S O R
刺激 反応
刺激 →知覚構成体→学習構成体→購買
比較的情報処理モデル的な構成。
とりあえずフローチャートになっている。
図の修正
知覚偏向→知覚のゆがみ
実線 情報の流れ
破線 フィードバック
出力の意図,態度,ブランド理解,注意に'(プライム)をつける。
外生変数にも注目 p35
重要:購買行動を問題解決と考えた
(1) 広範問題解決(徹底的問題解決)
この製品クラスは私のもの?
選択基準なども作る
(2) 限定問題解決
このブランドは私のもの?
選択基準がある
(3) 習慣的反応行動(便宜品・コンビニエンス)
2 Engel, Blackwell, Miniard (EBM) model
図2-2 p37 追加
入力 情報処理 意思決定過程
意思決定過程に影響する変数
図2-2 p37 修正
露出=露出/接触
外的情報探索=外部情報探索
内的情報探索=内部情報探索
代案=選択肢
欲求認識=必要性認知
不満足→外部情報探索 の線は破線
不満足→購買前選択肢評価
の破線を追加
ここの処分と5章の破棄
EBMのいう問題解決の広範問題解決,限定問題解決,習慣的行動とハワードのいうのとでは少し定義が違っている。
基本的枠組みはEBMに従うが,問題解決に対する考え方はハワードのほうがいいだろう。
7節 消費者をどう見るのか
Schiffman,L.G.,& Kanuk,L,L.(1991) 消費者の意志決定の4つのモデル
(1)経済人(economic man) 合理的意思決定
(2)受身人(passive man) 情報に流されてしまう
(3)認知人(cognitive man) 情報を積極的に求める
(4)感情人(emotional man) イメージ広告.喜び,恐怖,希望,愛,性,ファンタジー,マジック
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