これは「消費者行動」講義中に提示した素材を元にしたものです。若干の変更を加えています。ここにある以外の説明をしていますので注意してください。(香川大学経済学部 堀 啓造)
第9回1999年5月18日,第10回1999年5月25日(前半) counter: (1998/8/25から)
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5章 購買決定後の過程
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0節 購買
 1 購入意思決定過程
 2 購買の計画性 衝動買い
 3 購入場所の選択
 4 店舗選択の顕著な属性
1節 消費の過程
 3 機能 vs 経験
2節 消費者満足・不満足
 1 期待不一致モデル
 2 帰属理論
   (1)製品失敗に対する情緒的反応
   (2)消費者の期待
   (3)製品失敗の償い
 3 認知的不協和の理論
 4 消費者の維持
3節 廃棄 

5節 消費者意志決定過程の診断

0節 購買

 購入意思決定過程

(1) 買うかどうか
 つい買いそびれてしまうものは?(電通) http://www.dentsu.co.jp/trendbox/topics/2002/020930.html
(2) いつ買うか
(3) 何を買うか*
(4) どこで買うか*
(5) 支払方法

 購買の計画性

テキスト p195-197
衝動買い
堀www読み物/小売り店と消費者

衝動買い Rook(1987) The buying impulse. Journal of Consumer Research, 14, 189-199
(1) 自発性
(2) 力,強迫的,強烈
(3) 興奮と刺激
(4) その結果に対する無思慮

衝動買いについては関口和夫(1985)新衝動買い派登場−変わる主婦の購買行動 Forum(日本消費経済研究所), no.12, p12-15
におもしろい研究がある。それに触発された研究。
堀 啓造(1990)衝動買いの要因分析 日本心理学会第54回大会発表論文集, Pp.341)
定義については
Piron,F.(1991) Defining impulse purchasing. Advances in Consumer Research, 18, 509-514.
形式面
1)無計画 2)刺激との接触の結果 3)その場で決定する
感情認知反応

衝動買いその後の文献

Beatty, S. E., & Ferrell, E. M. (1998). Impulse buying: Modeling its precursors. Journal of Retailing, 74, 161-162.
Dholakia, U. M. (2000). Temptation and resistance: An integrated model of consumption impulse formation and enactment. Psychology & Marketing, 17, 955-982
Kaufman-Scarborough, C. and Cohen, J. (2004). Unfolding consumer impulsivity: An existential phenomenological study of consumers with attention deficit disorder. Psychology & Marketing, 21(8), 637-669
Rook, D. W., & Fisher, R. J. (1995). Normative influences on impulsive buying behavior. Journal of Consumer Research, 22, 305-313.

 購入場所の選択

(1) 都市間選択
(2) 店舗タイプ

「楽しい週末のお買物」調査結果レポート(2002年7月実施) http://data.media-net.co.jp/enter/free/0207.html
"大型スーパー"で34.1%、"デパート"23.9%、"ショッピングセンター"19.4%、"ホームセンター"7.2%、"その他"7.0%、"専門店"5.0%、"店にはいかない"が3.5%


『香川県中小小売り商業活性化マスタープラン』香川県1992
調査 1991年10月〜11月
対象 高松市および近辺 1321人女性
-24:60 25-34:232 35-44:357 45-59:418 60-:254人

外出着購入場所図
実用着購入場所図
下着購入場所図

年齢や製品クラスによって店舗タイプが変わってくる。
高齢になるほど百貨店が愛顧されていることに注目すること。

 店舗選択の顕著な属性

堀WWW読み物/小売り店と消費者/
お店が怖い/女子大学生のファッション店店員の利用/女子学生の利用ファッション店とファッション観/買物類型/買物が好き参照

@ 場所(モスバーガーvsマクドナルド)
   (デパートの駅前,駅から遠い)
駅の側 駅から遠い
渋谷 東急東横店 東急本店
東京駅 大丸 高島屋,三越
新宿駅 小田急,京王 伊勢丹
京都 近鉄 大丸,高島屋
名古屋 松阪屋名古屋駅店 松阪屋本店
神戸 そごう 大丸
岡山 高島屋 天満屋
広島   三越(典型例)
A 品揃えの量と質(梅田(大阪)の阪神 vs 阪急)
B価格
C広告とプロモーション
D販売員(積極応対型 vs 消極型)
Eサービス 
F物理的店舗属性
G客層
H店の雰囲気
Iアフターサービスと満足

ファッション店(特に高松)の店舗属性比較
 www女子大学生の利用ファッション店とファッション観
 量販店  専門店(DC) 
 ドア  なし(開放型)  あり 
 ライト  蛍光灯  白熱灯 
 試着室  多い  少ない 
 店員  制服  私服(店の服) 
 店員  付きまとわない  付きまとう 
 店員  客を知らない  客を知っている 
 対店員  排斥  親和 
 品揃え  同タイプを沢山  1アイテム1点 
 価格  低価格  高価格 
 客数  多い  少ない 
 愛顧  低い  店舗・店員ロイヤルティ 
 雰囲気  雑然  シンプル 
 立地  便利  横道・遠い 

対店員の態度

店員に親和的 www/女子大学生のファッション店店員の利用/
店員がいい,店員のファッションセンスが優れている,店員の知識が豊富

店員がアドバイスしてくれる,アドバイスが客観的・親身,店員が親切,店員と懇意,店員が気さく,店員と話していて楽しい,店員が冷たくない,相談しやすい,客が何を持っているか知っている

店員を排斥 wwwお店が怖い
店員がよってこない,つきまとわない,しつこくない,売りつける感じがしない,押しつけない,店員に威圧されない
《無駄な買物をしたくない》
《自分で判断したいが人に言われると影響される》

堀 啓造(1990)ファッション店のイメージの内容分析 香川大学経済論叢62(4)参照のこと

5 ダイレクト・マーケティング

直接販売,ダイレクトメール広告,ダイレクトメールカタログ,テレマーケティング,ダイレクト反応広告,インターラクティブ電子メディア

EC・オンラインショッピング関連リンク集

通販を利用するタイプ=リスク探求型


通信販売利用状況 http://www.dentsu.co.jp/trendbox/topics/2002/020524.html

通信販売について http://www.intage.co.jp/report/s_rep/srep_34_li0106.html

 日本で発達している自動販売機



緑茶飲料の利用 http://www.myvoice.co.jp/voice/enquete/4701/index.html

2002年9月10日 株式会社マクロミル ミネラルウォーターに関する調査 http://www.macromill.com/clt/press/press_20020910.cfm

『「Lモード」利用実態調査』http://www.ntt-east.co.jp/release/0206/020628c.html

吉野家 http://www.myvoice.co.jp/voice/enquete/4601/index.html

2002「生活者の環境意識と行動」調査 http://www.dentsu.co.jp/trendbox/topics/2002/020510.html pdf

インターネット・ショッピングに関する調査 http://res.nikkeibp.co.jp/r-marketing/rep016.html

平成12年度流通構造等分析調査「携帯電話」−端末の価格形成と利用者の動向− http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2001/02/60B2Q300.HTM

携帯電話に関する世論調査 http://www.crs.or.jp/52021.htm

ドコモ調査、首都圏小・中学生の4人に1人がケータイ所有 http://k-tai.impress.co.jp/news/2001/03/06/kids.htm

デジタルカメラ・ユーザーの実態 2002年7月27日〜8月1日 http://www.konica.co.jp/corporate/press/tousei/tousei20/index.html

1節 消費の過程

Holbrook, Hirschman, Belk
ポストモダン系
消費経験主義 消費行為に伴って経験される感情を検討することと,消費行為の背後にある意味を明らかにすることが重要(テキスト(杉本,1997,p73)
そこで対立するものと考えているのは情報処理モデル

2つのタイプの消費研究がある。
(1) 利益目的の消費研究
(2)ポストモダン消費研究

Engel et al.(1995)
(1)利益目的の消費研究
 19世紀に戻る
 家に入って,対話し,消費者のしている世界を観察し,経験する時である。(生活者)(人間工学)

・洗剤 ロシアの家庭では合成洗剤を風呂場に置く→単なる紙ではだめ
・ハサミ 25-45歳が使っている 関節炎や握力が弱っている→バネ
・台所の意味 6つある。
・電子レンジ 65歳以上には複雑。→料理別のボタン(シャープ)

(2)ポストモダン消費研究

Belk,R.w.,Wallendorf,M., and Sherry,J.F.Jr.(1989) The sacred and teh profane in consumer behavior: Theodicy on the Odyssey. Journal of Consumer Research, 16, 1-38. also in H.H.Kassarjian and T.S.Robertson(ed.)(1991) Perspectives in Consumer Behavior. 4th ed. Prentice Hall.

聖なる消費と俗なる消費
・儀式(交換,所有[新居に移る],時期[正月,バレンタインデー],身繕い[そのための服装をしたり飾り立てる,テニス,親戚にお出かけ],廃棄(喪失))
チョコレートについては次のサイトも参考に
http://www.because.ne.jp/trendnavi/contents25/q.html

・巡礼の旅(ディズニーランド,学問の神様,成功のシンボル)
・真髄(完全な例)(リーバイス501[ジーンズ],モンブラン[万年筆],カルチェ[時計],レイバン[サングラス],ジッポ[ライター])=神話をもっている
・収集(キッチュ)
(贈り物(遺産),外部の認可)

強迫的消費(ギャンブル,買物[買う過程が楽しい],ドラッグ)
キャロリン・ウェッソン(斎藤学訳)1996 買い物しすぎる女たち 講談社+α文庫

 機能 vs 経験

従来型の消費者モデルとポストモダン型の対比は多くの側面で現れ,多様な言い方でその対立が表現されている。

機能,功利,効用,道具的,情報処理モデル
⇔感情,快楽,美的,記号的,象徴的,経験


時間節約型商品vs時間消費型商品とも関係することに注意せよ

英語では例えば次のような対立がある。
functional, instrumental, utilitarian
⇔symbolic, pleasure, hedonic, experience, aesthetic, emotional, affective, value-expressive

Holbrook,M.B. and Hirshman,E.C.(1982) The experiential aspects of consumption: consumer fantasies, feelings and fun. Journal of Consumer Research, 9, 132-140. also in H.H.Kassarjian and T.S.Robertson(ed.)(1991) Perspectives in Consumer Behavior. 4th ed. Prentice Hall.

Holbrook and Hirshman(1982)の情報処理観点と経験観点の対比(一部)
情報処理観点 経験観点    
criteria
utilitarianesthetic
work mentalityplay mentality
economicpsychosocial
learning
operantrespondent
satisfactionassociation
reinforcementcontiguity
output consequences
functionfun
resultsenjoyment
purposepleasure

2節 消費者満足・不満足

お中元・歳暮 花王 http://www.kao.co.jp/lifei/info/htmldata/020523.html

平成13年度の消費者相談件数(速報)http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0002780/0/020528syouhisya.pdf

eshopCSI(電子店舗顧客満足度指標) 第2回調査 結果報告資料 2001年2月 http://www.eshop.gr.jp/eshopcsi/rel0213.html

電気ジャー炊飯器の商品テスト結果 −上手に使うための情報も加えて− http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20010306_1.html
商品テスト

第33回国民生活動向調査・要約 平成15年年2月6日 国民生活センター
http://www.kokusen.go.jp/cgi-bin/byteserver.pl/pdf/n-20030206_4.pdf
1. 商品、サービスに対する不満・被害
2.クーリング・オフ、製造物責任法、消費者契約法の周知度:前回とほぼ同じ 代
〔特定テーマ〕食品の表示問題と消費者の購買行動

 期待不一致モデル

(a)衡平(こうへい)な性能(購入や仕様に費やした費用や努力に見合う性能)
(b)理想的性能
(c)期待した性能(これがもっとも使われる)

(a)プラスの不一致
(b)単なる一致
(c)マイナスの不一致

 帰属理論

Folkes,V.S. 1987 The role of causal inferences in postpurchase processes. Research in Consumer Behavior, vol.2, 137-160.

因果推論の結果

(1)製品失敗に対する情緒的反応

(a)怒り  統制できる
工場または売り手が統制できるとき怒り 
ミスが売り手に関連しており、とりわけ売り手が製品の性能を統制できると考えると きに消費者は売り手に怒りを覚える(Folk,1984)
ex.修理屋が利益を増やすために経験のないものを雇った。→へたな修理を怒る。
まずい料理がレストランに統制されうると知覚されればされるほど、
    顧客は怒りを感じる。
 復讐も考える  ネガティブな口コミ、またはもっと破壊的行為

怒りが内側に向けられることもある。
製品ミスの場合、自分自身にむかつき、いらだつことがある。
このときは自分で統制できると思ったとき
使い方をよく読まなかったとき。

(b)恥ずかしさ、後悔も製品選択の統制可能性からくる。
サイズのあわない服、縫い目のほつれ

(c)哀れみ 統制できない
哀れみとか同情は会社にとってプラス。
統制できない理由によって悪い結果を被った。
統制できない困難さを被った会社は哀れみを引く。
 グリコの事件 → すぐに顧客に戻る
Johnson & Johnson

(d)感謝 統制できる
プラスの結果、それを他者が統制できる→感謝(Weiner,1980)
感謝は会社に対するポジティブな反応を消費者につくり、悪い製品経験の埋め合わせをする。
 会社が苦情を満足の行くように処理すると、消費者はその製品をまた買おうと思い、自分のよき経験を他の消費者に話そうとする。(Gilly and Gelb,1982)
 裁判にまけて賠償を命じられた企業を助けようとしない。

(e)あきらめ 安定性
 製品失敗が安定した、恒久的原因によるものだと知覚されれば、消費者はあきらめもしくは、無気力を感じるだろう。
努力しなかったとか、運が悪かったと帰属すれば、そうならない。

(f)情緒の強度
情緒に先行した認知が極端であればあるほど、強度が高まる。
(例。結果が統制可能であればあるほど、怒りは大きくなる)
原因の安定性は情緒的強度に影響する。ミス+安定→強い怒り(否定的結果ある)
重要性/価値 
  重要なものは情緒性が高まる。

要約
帰属は情緒に先行することがしばしばある。もとにある原因次元が怒り、復讐、哀れみなどと結び付いているように。しかし、すべての情緒反応が帰属から生じるわけではない。学業成績の研究では、学生は成績への直接の反応として、ガックリのような情緒を示す。差が大きいほど、失意も大きい。性能への期待が不満に影響することもしられている(Oliber,1980)。しかし、期待が原因の安定性と失意と不満の間の関係を媒介するという点で、帰属が一定の役割を果たすであろう。
註 Winer の帰属と感情の関係

(2)消費者の期待

 製品変更が失敗したときに消費者の製品変更についての期待がどのようになるかが中心的問題。消費者が古くから信頼している風邪薬でその消費者が鬱血したり、お気に入りのソフトドリンクが味気なかったりしたとき、どのような変化がおきるだろうか?
 製品が失敗したとき、消費者は原因の安定性に反応して、その期待を変更する。製品失敗に対して不安定な原因を帰属すると消費者は将来の製品失敗について確信をもたない(Folkes,1984)。

(a)反復購買 

 安定した、売り手に関連した推論とその結果への期待変化は購入意図に影響する。製品失敗に対する安定した原因への帰属は不安定な原因への帰属よりも反復購買を減らすであろう。
 下手なメカニックのためのまずい修理 →そこに行くのは止める。
 過重労働のためのまずい修理

 原因の安定性は直接、間接(怒りをとおして)に再購入意図を減らす(Fokles et al. 1987)。同様に製品満足は購入意図に影響し、期待は満足に影響する(La Barbera and Mazursky,1983; Oliver,1980)。
 売り手に関連した帰属の安定がそのブランドの再購入に影響する一方、買い手に関連した帰属は異なる効果を持つ。

失敗が消費者に関連しているときは、帰属は製品クラスの再購入に影響する。
安定した、消費者に関連した原因帰属は、不安定な消費者に関連した原因帰属よりもその製品クラスの再購入が少なくなる。消費者はほかのブランドも問題があると思う。例えば、ビタミンをとるのを覚えておくことができないと思う消費者は、特に忙しい週なので忘れたと思う消費者よりも、どのブランドのビタミンも買わなくなるのがはやく起こる。
 このように、原因の安定性は消費者の期待に媒介されて、購入意図に影響する。

(b)好まれる償いの型
 期待、原因の安定性と製品失敗したときの消費者に好まれる償いの型を媒介するように思われる(Folkes,1984)。失敗が安定しているときは、消費者は交換よりも返金を望む。失敗が不安定なときには、消費者は返金よりも交換を望む。
 失敗が売り手に関しているとき、買い手に関しているときよりも、消費者は交換よりも返金を望む。これは、失敗が売り手に関しているとき返金が義務付けられていると思われているからであろう。

(3)製品失敗の償い

 誰が製品問題を解決するべきかについての一般的な信念は、誰が問題を引き起こしたの信念から起こってくる。石油会社がエネルギー危機を引き起こした信じる消費者は、石油会社が問題解決の責任をもつと信じている。エネルギーの無駄遣いがエネルギー危機を引き起こしていると考える消費者は、一般庶民がエネルギーを節約すべきだと信じている。原因もしくは職権の位置が問題の解決を誰の責任にするかに影響する。

(a)返金
 製品失敗に対する原因の位置が償いについての信念に影響する。
 売り手の責任 → 売り手への返金の請求
 買い手に関連付けた帰属は消費過程の変化や、選択方法の変化に影響する
 (Bettman,1979)

 失敗に対する償いについての信念が、ときには、興味深いマーケティング問題にいたる。冬に降雪量が少ないと除雪機が無駄になるので、除雪機を買うのをためらう。
 原因は天気
 メーカーが降雪量が平均よりもかなり下回ったなら、返金すると保証。
 →購入増える

 モラルの問題:製品失敗は解決された問題だけではない問題を含んでいる。道徳的非難の判断も含む。製品問題が意図的に引き起こされたと思われるっ場合は、消費者は売り手を責め、道徳的な責任を売り手に負わせる。しかし、制約が製品を失敗させたときにはそうならない。結果に対する道徳的非難は売り手を懲罰行動のターゲットとする。消費者は製品失敗を引き起こした、統制可能な行動をした売り手もしくは工場に返金以上の償いを求める。裁判はこれに基づいて製品責任の場合損害賠償金を認める判決をしばしばだす。

(b)謝罪
 製品失敗の償いは、売り手が買い手に与えた量だけではなく、売り手がそれをいかに与えたかをも含んでいる。返金するだけではなく、売り手は、まずい製品性能を謝罪することによって損なわれた買い手−売り手関係を修復する必要があるだろう。謝罪は遺憾を示し、好意や免罪をまして非難を減らす。製品失敗が売り手に関連しているとき、消費者は謝罪があるべきだと考える。結果がひどければそれだけ、丁寧な謝罪が必要である。

(c)苦情
 売り手に関連した失敗によって、怒りを表明するという方法や、会社を傷つけるという手段をつかい、償いや保証を得ることを期待して、消費者は製品についての苦情を言うようにすることがよくある。
 売り手への苦情、政府機関へ訴え、ほかの消費者へ悪口をいう
 外的帰属は苦情を訴えるが、悪口は少ない。
 安定した次元では苦情には影響せず、悪口が増える。

要約

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 原因の次元            消費者の反応
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 位置と統制可能性    →   怒り
                 後悔
                 感謝
                 哀れみ
                 苦情
                 会社を傷つけようという
                 欲求

 安定性         →   あきらめ
                 期待
                 反復購買

 安定性と位置      →   好まれる償いの型

 位置          →   なされるべき返金
                 なされるべき謝罪
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
帰属は製品失敗のあとの行動をよく説明するが、帰属だけで説明できるものではない。

1991年の調査(首都圏大学生216名(男子126名,女子89名,性別不明1名))(堀・高木・原田 未発表)から帰属のタイプの割り当て傾向があることがわかる。
 帰属の択一回答により,内部安定,内部不安定,外部安定,外部不安定に分類した.ファッションはそれぞれ,67(49%),32(23%),17(12%),21(15%),電気製品は52(51%),14(14%),21(21%),15(15%)名となった.ファッションにおいては自分には選択能力がない(35%),運が悪かった(15%),よく探さなかった(12%)が上位3位,電気製品においては,自分には選択能力がない(32%),それだけの金額しかだせない(19%),運が悪かった(15%)が上位3位である.自分には選択能力がないを含む内部安定の数が全体の半数を占めた

 認知的不協和の理論

フェスティンガーの認知的不協和の理論は,テキストでは消費者行動での研究がされていないような書き方がされているが,実際は消費者行動の研究がこの理論に重要な役割を果たした。
しかも,認知的不協和の理論は不協和に気づいて意識的に行動するのではなく,不協和にならないように,現在の選択を補強するように無意識に行動してしまうところに本来の意味がある。

例えば
(1)行動の面は,乗用車購買者の広告接触
(2)たばこ喫煙者と非喫煙者の情報の解釈のしかた。

 消費者の維持

@個人的対応のマーケティングをする
 データベースマーケティング
ATQC(品質管理)政策を制度化する
Bはやい満足フィードバックシステムを導入する
C現実的期待を構築する
D保証を与える
E製品使用の情報を与える
F顧客のフィードバックを求める
G顧客のロイヤルティを強化する
 広告の意味


消費者満足は,クレームに対する対応の仕方で大きく変わる.

具体例:「クレーム対応」調査結果レポート(2002年6月実施)
http://data.media-net.co.jp/enter/free/0206.html
たとえ,不良品に当たった場合でも,対応が丁寧だとマイナスをプラスにかえることができる.

しかし,対応に問題があると徹底的にこじれる.
維持するためには,クレームへの対応が重要である.

トラブっている
 (このリンクはメーカー側がきちんとした対応をすれば切れるでしょう)(閉鎖するとの告知が1999/7/21にでている)
これに対する会社側の答え インターネットへの掲示は客側の掲示後1ヶ月以上経っている。(1999/7/8) 答えの新しいリンク(1999/7/19) 7/8と同じか確認していない (1999/7/23 リンクが切れていることを確認した)

数々の批判や,マスコミの(東芝が謝罪したという)フレーミングによってでしょう,東芝側からきちんとした,謝罪と仮処分申し立ての取り下げの告知 がでました。(1999/7/19)

1999/7/8の会社側の説明に次の文があります。

1.今回の件は、本年1月に、 あるお客様から「VTRを再生する際に画面にノイズが発生する」との点検依頼をいただきましたことがきっかけです。 当社で調査いたしましたところ、ご指摘のノイズは、 お客様ご本人のテープがVTRの規格(FM搬送周波数)から外れて録画されていたことに起因していたことが判明いたしました。
「テープがVTRの規格(FM搬送周波数)から外れて」の意味が理解できないので,一般の人への説明としては問題がありそうです。そういう録画がなんで可能になったのだろう。

技術的説明がここにありました。かなり後ろのほうにこの問題に絞った説明があります。

新聞以外のマスコミ関係の反応をある程度まとめているところがあります。ここ。(ここも切れています。1999/2/23確認。このページは著作権上問題ありだった。)

読売新聞の記事(◆修理トラブルのHPに接続162万件)があります。(リンクがきれているようです99/7/19)
毎日新聞も7/10付記事を載せています。
東芝:ビデオ修理めぐり アクセス160万件 抗議ぞくぞく
毎日の場合,検索しないとでてこないでしょう。毎日新聞 下の方に検索欄があります。

毎日interactive の digital トゥデイに「インターネット事件を追う」という欄があります。ここの99/7/16に4つ関連記事があります。99/7/15の記事例

-------
インターネット時代になってクレームは公表しやすくなっている.インターネットでは根拠のない誹謗もありうるし,事実かどうかの確認は難しい.

東芝に対し、節度ある行動をとることを求める 1999年 7月16日インターネット弁護士協議会 代表 牧 野 二 郎 (ここの内容がなくなりました。1999/7/23確認。消費者問題に関してなかなかいいこと書いていたのに残念です。)読売新聞に記事があったのでそちらは残ることになる。1999/7/21??

新しい消費者モデルを考えている。このように対抗できるには消費者側の強固な自尊心と適切な対応能力(事実をきちんとあげることができる)など,消費者にとってしんどい面がかなりあることにも注意しなければならない。

ちなみに筆者も随分前にN○CのSPSS(統計ソフト,N○Cの子会社がN○C用に移植した版)で結果がおかしいのでクレームをつけたが,無視されたので,NEC系のパソコン通信当時PC-VAN に投稿したところ,即刻対応してきたという事件を起こしたことがある.しらばっくれるのは最悪の結果を招くよ.

満足・不満足関係リンク
我ら!松菱Z団!
全商品裁判所

契約等に関する消費者の意識調査結果(概要) 内閣府国民生活局 平成14年 6月

平成13年度消費生活相談概要(東京都及び区市町村)


3節 廃棄 

「家電リサイクル法」http://www.kkc.or.jp/japanese/activity/inv/shakai-kocho/020619.pdf


5節 消費者意志決定過程の診断 

Engel et al. (1993, P.54 )


動機と必要性認知

1.その製品購入および使用によって,どのような必要性(要求)または動機が満たされるのか? (例えば,消費者はどのような利益を求めているか?)
2.これらの要求は休止状態なのか,または購入予定者にただ今現在必要と感じられているのか?
3.目標マーケット層のもっとも有望な購入予定者はその製品に,どの程度,関与しているか?

情報探索

1.どのような製品関連またはブランド関連情報が記憶に蓄えられているか?
2.消費者は利用できうる選択肢およびその特徴についての情報を見つけるために外部情報源に目を向けているか?
3.探索が行われるとき,どの情報源がもっとも頻繁に使われるか?
4.探索が行われるとき,どの製品特性/品質が探索の焦点になるか?

選択肢評価

1.消費者は,どの程度,選択肢評価間のと比較をしているのか?
2.どの製品選択肢またはブランド選択肢が評価過程に含まれているのか?
3.どの製品評価基準(製品属性)がいろんな選択肢の比較の使われているのか?
  a.評価においてどれがもっとも顕著か?
b.評価はどの程度複雑か?
  (つまり,単一属性使用vsいくつかの組み合わせの使用)
4.購買候補選択肢のそれぞれに関して評価の結果はどのようなものか?
  a.それぞれの特性,性質についてなにが本当だと思われているか?
  b.それらは重要な差異だと見られているか,または本質的には同等と思われて
    いるか?

購入

1.消費者は好みの選択肢を見つけるまで買い回りをする時間とエネルギーを使うか?
2.購入のために好みの店を見つけるのに追加的な意志決定行動が必要か?
3.好みの購入モデルは何か(つまり,小売り店,家,その他)?

結果

1.その製品クラスまたはサービス・クラスにおいて以前に使った選択肢に関してどの程度満足・不満足を表していたか?
2.満足・不満足にどんな理由を挙げていたか?
3.知覚した満足・不満足は他人と共有されていて,ほかの人の購買行動を助けているか?
4.消費者は不満足をとりのぞくように何か試みたか?
5.選択肢のどれかを再購入する意図があるか?
  a.もしないなら,なぜないのか?
  b.もしあるなら,その意図はブランドロイヤルティまたは惰性を反映するのか?




《引用・参考文献》
個々の場所で断っていないですが,次の文献から引用してます。
Engel,J.G.,Blackwell,R.D. and Miniard,P.W.(1986) Consumer behavior. 5th ed. Dryden Press.
1990 6th ed, 1993 7th ed. 1995 8th ed.

《経験・解釈重視の文献》
石井淳蔵(1993).マーケティングの神話.東京:日本経済新聞社
特に5章 人間にとって消費するとは何か
武井寿(1997). 解釈的マーケティング研究.東京:白桃書房

R.W. Belk編集の Research in Consumer Behavior(JAI Press) には経験の論文が多い.

《満足》
満足は専門の雑誌がある.
Journal of Consumer Satisfaction, Dissatisfaction and Complaining Behavior.
CS/D & CB と略していることもある. 1988 年に vol.1 がでている.年1冊.

Oliver,R.L.(1997). Satisfaction: A behavioral perspective on the consumer. NY:McGraw-Hill.

原因帰属と感情
Weiner(1986) In the Atkinson Tradition: The Motivational Function of Emotion
D.R.Brown and J.Veroff eds. "Frontiers of Motivational Psychology".
Springer-Verlag,26-39.

Weiner, B. (2000). Attributional thoughts about consumer behavior. Journal of Consumer Research, 27, 382-387. 帰属理論本家の消費者行動への思索的応用

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原因の特性        情緒の対象
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           自分        他人
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統制可能    罪悪感        怒り
       (他人に向かう)  (他人と対決する(against)
            
統制不可能   恥          哀れみ
       (他人を避ける)  (他人に向かう)
       ( away from)     (toward)
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