これは「消費者行動」講義中に提示した素材を元にしたものです。若干の変更を加えています。ここにある以外の説明をしていますので注意してください。(香川大学経済学部 堀 啓造)


第7回1999年5月18日 counter: (1998/8/25から)
最終更新日:
4章 消費者の情報探索と選択肢評価
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1節 消費者の問題認識と情報探索
2節 消費者の情報探索と選択肢評価の仕方
3節 消費者の選択肢評価と意思決定の予測
以下次回
3節 消費者の選択肢評価と意思決定の予測(続き)
4節 消費者の決定方略

1節 消費者の問題認識と情報探索

1 消費者が情報探索するまでの過程

(1) 内部探索(記憶検索)
過去の記憶をたどって、それを実行する。
→探索するな、反復せよ。「薔薇の名前」
  習慣的行動

(2)外部探索(通常の探索)
 購入前探索・継続的(進行的)探索
内部探索,外部探索
@満足:満足が大きいと外部探索は起こらない。
A購入間隔:間隔が大きいと外部探索の可能性が増える。
B代替品ミックスの変化:新しい製品の導入率、価格の変化、スタイルの変化が大きいと外部探索確率が高くなる。
C現在の問題が前の時と違っている。

(3)探索の次元
 (a)探索の程度
 (b)探索の方向
 (c)探索の順序

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 探索の程度
──────────────────
検討したブランド数
訪れた店舗数
考慮した属性数
相談した情報源数
探索に費やした時間
──────────────────
 探索の方向
──────────────────
どのブランドを検討したか
どの店舗を訪れたか
どの属性を考慮したか
どの情報源に当たってみたか
──────────────────
 探索の順序
──────────────────
検討したブランド順序
訪れた店舗の順序
製品属性の情報を処理した順序
情報源に当たった順序
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

米国でのタイプ分け
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
@低探索群    26%
A友達と一緒群  19%
B高探索群    5%
C高自己探索群  12%
D小売り店買い回り群 5%
E中程度探索群  32%
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     非対人    対人
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
営利    広告     販売員
    店舗内情報
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非営利 一般目的の  社会の他者
    メディア        
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広告が消費者行動に及ぼす効果(2)http://www.kyoto-su.ac.jp/~itikawa/ad/youshi/sugimoto.html 乗用車とパソコン
車購入時の情報接触行動 http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/02number/200206/06data.html

広告におけるリーセンシー効果 http://www.kyoto-su.ac.jp/~itikawa/ad/youshi/umezu.html テレビ広告と交通広告
Vol.-38 「健康」の情報源は、「テレビ」に軍配 http://www.dentsu.co.jp/trendbox/topics/2002/020719.html

大多数の人(75%)が挙げたのは、「テレビ」。このほかには、「雑誌」「口コミ」「インターネット」が続き、各々約2割を占めた。一方で「新聞」「医者・医療関係者」という回答は、1割未満だった

旅行前の下調べはインターネットで http://japan.internet.com/research/20010215/1.html

2002「生活者の環境意識と行動」調査 http://www.dentsu.co.jp/trendbox/topics/2002/020510.html pdf


(4)探索の決定因
@場面的決定因 時間的圧力
A製品の決定因 製品間差異、価格、
 製品カテゴリーの安定性、リスク
B小売り店要因 店舗間の距離、
 小売り店間の類似性
C消費者側要因 知識、検索探索能力,
 関与、信念態度、デモグラフィック
 特性
(4b)外部探索の決定因
(内側から考える)
情報の知覚した価値 
 高関与、いろいろ違いのある選択肢、自由になる時間の利用可能性のときに広範問題解決
 @決定の重要性
 A他(外部記憶)の情報の利用可能性
 B意思決定能力への自信

@決定の重要性
 関与の強さ。知覚したリスクの存在
  知覚したリスクを高める条件p174
 (a)高価格
 (b)関与する期間の長さ:長期間使用するものには、リスクを感じる。
 (c)誇示:他人に見えるものだと、社会的に受け入れられる選択をしがちである。 
 (d)安全:製品の使用が害を与える可能性がある、望ましくない影響がある
 (e)つながっている意思決定:ある意思決定が他の意思決定へと導く程度によりリスクがかわる。

A他(外部記憶)の情報の利用可能性
利用可能性が高いほど外部探索をする。

B意思決定能力への自信
 (a)ブランドに対する確信度
 (b)ブランド、製品属性を判断・評価する能力への自信

(5)探索の費用
 @意思決定の遅延
 A時間とお金の機会費用
 B情報の過負荷
 C心理的費用

リスクの知覚と情報探索

リスク全体の可能性,重大性,およびその積と探索の各項目との相関においては,ファッション製品,電気製品とも1%水準において有意な相関がまったくなかった(5%水準においてもない).


《被験者》法政大学・横浜国大 216名(男子126名,女子89名,不明1名)であった(調査日:1991年10月)(堀・高木・原田 未発表)

検討したブランド数 電気製品グラフ ファッション製品グラフ
訪れた店舗数 電気製品グラフ ファッション製品グラフ
相談した情報源数 電気製品グラフ ファッション製品グラフ
探索に費やした時間 電気製品グラフ ファッション製品グラフ

2節 消費者の情報探索と選択肢評価の仕方

《評価基準》
@ 価格
A ブランド名
B 産地国
C 評価基準の顕著性

《選択肢の評価》
@cutoff Aシグナル
低価格でだした化粧品を売り出したが,全く売れなくて失敗した。同じ製品を価格を上げて売り出したら売れていった。なぜか。価格がシグナルとして使われている。

《多属性意思決定》
途中で意思決定をしてしまう場合
属性型の情報探索
選択肢型の情報探索

補償型・非報償型
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
        ブランド
      A   B   C   D
─────────────────────
価格   39,800 29,800 29,800 19,800

デザイン  並   良   優  良の上

機能    優   良   優   並
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

3節 消費者の選択肢評価と意思決定の予測

多属性意思決定モデル
フィッシュバイン(Fishbein)のモデル
補償型

顕著な属性

@ei 1万円以下の運動靴を買うことは

とてもよい _:_:_:_:_:_:_ とても悪い
      +3 +2 +1 0 -1 -2 -3
AbI

ナイキの運動靴が1万円以下である可能性は

大いにありうる _:_:_:_:_:_:_ 全くあり得ない
        +3 +2 +1 0 -1 -2 -3

──────────────────
属性      評価 ei   信念 bi
             ブランド
            い ろ は
──────────────────
耐ショック性   +2  +2 +1 -1
1万円以下    -1  -3 -1 +3
耐久性      +3  +3 +1 -1
はきごこち    +3  +2 +3 +1
望みの色     +1  +1 +3 +3
土踏まずの支持  +2  +3 +1 -2
──────────────────
《引用・参考文献》
個々の場所で断っていないですが,次の文献から引用してます。
Engel,J.G.,Blackwell,R.D. and Miniard,P.W.(1986) Consumer behavior. 5th ed. Dryden Press.
1990 6th ed, 1993 7th ed. 1995 8th ed.


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