これは講義中に提示した素材を元にしたものです。若干の変更を加えています。これ以外にも説明していますので注意してください。
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第3回1997年10月24日
2章 消費者行動への(心理学的)接近
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  • 体系(1節)
  • 研究の歴史(2節,3節)
  • 研究法(4節)
  • モデル(5節,6節)

  • 1節 消費者行動と心理学

    1 産業心理学における消費者行動研究

    産業心理学はアメリカ系,経済心理学がドイツ系。ドイツでは経済という言葉がよく使われる。

    ドイツ系の経済心理学(出典不明)

                  経済心理学(広義)
                    ↓
                    人
           ┏━━━━━━━━┻━━━━━━━┓ 
          生産人              消費人
           ↓                ↓
          経営心理学         経済心理学(狭義)
      ┏━━━━┻━━━┓       ┏━━━━━╋━━━━━┓ 
     労働      経営社会   販売心理学  広告宣伝  購買
     心理学     心理学    市場調査   心理学   心理学

    狭義の経済心理学が消費者心理学にあたるから,現代的に拡張して次のようになる。



                  経済心理学(広義)
                    ↓
                    人
           ┏━━━━━━━━┻━━━━━━━┓ 
          生産人              消費人
           ↓                ↓
          経営心理学           消費心理学
      ┏━━━━┻━━━┓       ┏━━━━━╋━━━━━┳━━━━━┓
     労働      経営社会   販売心理学  広告宣伝  購買    使用(消費)
     心理学     心理学    市場調査   心理学   心理学  の心理学
                                     (人間工学など)

    2節 経済学と心理学 p27

    素朴心理学が前提

    古典派経済学(特にミクロ経済学)

    限界効用の理論

    P.D.ベネット・H.H.カサージアン(1979)消費者行動 ダイヤモンド社 2章 を見よ


    古典派経済学の前提となっている

    「経済人」

    経済人(有斐閣「経営学小辞典」1981)

    1. すべての代替案(選択肢)を知っている。
    2. 代替案のもたらす結果についての情報が完全である。
    3. 明確な価値体系をもっているために,最適な代替案を選択することができる。

    →人間の能力を絶対的なものとした「全知的合理性」をもつ


    H.A. Simon 限定された合理性

    広義では,合理性は

    1. 所与の条件と制約に規制された限界内で
    2. ある目標を達成するのに適当である

    行動スタイルを指す。

    井関(1969)(吉田・村田・井関『消費者行動の理論』丸善 p120)/P>

    1. 合理性の公準
    2. 完全情報または市場完全予知の公準
    3. 選択自覚と選好無矛盾の公準
    4. 独立性の公準
    5. 確実性の公準
    6. 現在所得または絶対所得の公準

    -------------------------------------

    経済人→客観的合理性(全知的合理性)

    経済人とは経済理論で仮定されているような,完全に合理的な意思決定を行う人間類型のこと。

    1. 意思決定に先だってすべての代替的行動(選択肢)を列挙できる。
    2. これらの代替的行動すべてにつき,各をとった場合に生じるすべての結果を知ることができる。(3)...
    -------------------------------------

    経営人→主観的合理性(限定された合理性)手続き的合理性

    現実の人間は経済人の場合のような完全な合理性は有せず,彼の合理性は限定されたものでしかない。という事実に即してモデル化された人間類型。

    1. 意思決定に先立って挙げうる代替的行動はごくわずかでしかない。
    2. それらの代替的行動の結果についても部分的にしか知ることができない。
    3. また,挙げられた代替的行動の中から最適の行動を選択することはできず,「満足しうる」行動を選択してよしとする。→発見法

    満足化 vs. 最適化


    3節 消費者行動研究の推移
      年代区分を次のように読み替える。

    1. 広告研究
    2. (単なる心理学の知見の適用)

    3. モティベーション・リサーチ
    4. 実証性・厳密に統制された実験や調査(近代,科学)
    5. 情報処理パラダイム
    6. ポストモダン的研究

    実証性・厳密に統制された実験や調査(近代,科学)において重要なこと。

    仮説演繹法

    仮説構成体−演繹−検証

    どうしたときに実証できたといえるのか。

    先付けは仮説を検証したことになるが,後付け(結果を見てからいうこと)は検証したことにはならず,単なる感想か,仮説を作った段階

    この区別が重要

    予測と合致。

    後ろ向きの研究(過去を見る)と前向きの研究(可能性を見る)


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