「アメリカで打つ讃岐うどん」は、結構、皆さんの御好評を頂いている。といっても、このページのことではなくて、実際にパーティなどのときに打つうどんそのものの話である。ちょっとした余興にもなる。最後の切り行程では、切ったうどんを「台に強く叩きつけて、麺を広げると同時に、余分な粉を払い落す」(工程10参照) のだが、子供に手伝ってもらうと「きゃぁきゃぁ」騒ぎながら喜んで手伝ってくれるし、一緒に楽しむことが出来る。
アメリカに滞在して8ヵ月超。何度も客人にうどんを振舞ってきたが、いつも聞かれるのは、うどんだしの話。「このうどんだしはどうしているの?」 ...本心は、「よくぞ聞いてくれましたっ。もちろん自分で作ってますっ!」と意気揚々と解説したいところなのだが、実は、口で説明するのは簡単ではないし、聞いている方も、うどん麺の場合ほど面白くないらしく、「こんど紙に書いて教えて。」と言われるのが落ちである。...実際、「ねかし」の時間が多く、とても地味な作業 (^^;...
ちょっと前振りが長くなったが、どうせ紙に書くなら、いっそのことホームページで解説しよう! ...というわけで、このページは、その「地味で」「時間もコストもかかる」うどんだしの作り方のページである。
うどんだしには、ざるうどんや釜上げを食べる際に使う「つけだし」と、かけうどんに使う「かけだし」がある。どちらを作るにも、いわゆる「だし」(以下、「白だし」と呼ぶ)が必要になる。これに加えて、つけだしを作るには、醤油・みりん・砂糖をまぜた「かえし」と呼ばれるものが必要になる。以下、時間のかかる順に、「かえし」「白だし」、続いて「つけだし」「かけだし」の作り方を説明する。なお、おいしい「つけだし」を作るには、ねかしの時間を含めて2週間ほどかかる。
かえしを作るには、次の材料が必要になる。
作り方
もちろん、急ぎのときはねかさなくても良いが、時間を置いた方が味が馴染むのでベター。また、分量が多いように思うかも知れないが、腐るものではないし、他にも流用できるので、一度にたくさん作っておいて保存しておけば良い。流用方法としては、かつ丼や親子丼などのたれや、煮物の調味料として使える。
白だし1リットルをとるために、次のものを用意する。
いずれの分量も厳密でなくて良い。「いりこ25g」などと言われても想像つかないだろうが、袋に記載された総量から類推すれば良いだろう。ちなみに、右写真のいりこは、内容量 6oz (170g) とある。
削り節も同様に考えたら良いが、もう一つの方法を紹介しておく。何かの料理番組でどっかの先生が言っていた方法。削り節を押し潰さない、ふわっとさせた状態で「水の体積と同じくらい」が適切な量というものである。これを覚えておくと、とっても便利。
ちなみに「削り節」とは、かつお節にさば節などをまぜたものを呼ぶ。呼び名は、出身地方によって多少の違いがあるかも知れない。もちろん、純粋なかつお節を使っても良い。人によっては、さば節の臭みが嫌いという人もいるから好みにも依存するだろうし、アメリカでは純粋な「かつお節」の方が手に入りやすいとも聞く。
作り方
いりことこんぶを煮ないのは、苦みを出さないため。水に一晩つけるだけで、明らかに色が変わって、良いだしがとれる。この方法を試したことの無い人は、あまり信じてくれないのだが、このだしが一番おいしい(と私は信じている)。なお、取り出したいりこは捨てるしか無いが、こんぶの方は、まだまだ使える。二番だしをとっても良いし、煮物などにも流用できる。ちなみに、急ぐときは、いりこ・こんぶを煮出しても良いが、沸騰させないように注意する。沸騰寸前の火加減で20分程度煮出せば良い。
作り方
かえしと白だしを合わせた直後は、だしの臭みや味のするどさが気になるが、一晩二晩ねかすことで、味が馴染み、まろやかになる。なお、つけだしは、あまり日持ちがしない。ちゃんと調べたことは無いが、冷蔵庫保存で1週間以内が限界だと思う。日数を置くときは冷凍する。
つけだしは、そのまま天丼のつゆに流用できるし、少し薄めれば、天つゆにもなる。
作り方
醤油は、手には入るなら薄口のものを使う (ただし、筆者は、アメリカでは見たことが無い)。
関東出身の人は、醤油を入れすぎないように注意。