消費者調査法(第3回)


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調査法の本としては

末永俊郎編『社会心理学研究入門』東京大学出版会(1987)
豊田秀樹『調査法講義 』朝倉書店(1998)

心理学の研究法については、
東京大学出版会の心理学研究法1〜17 1973年前後

マーケティングリサーチについては
吉田正昭・和田若人・仁科貞文『マーケティング・リサーチ入門−消費者の心を測る』有斐閣新書(1982)
吉田正昭・仁科貞文・天野祐吉・志津野知文『広告の心理−消費者の心をつかむ』有斐閣新書(1982)
朝野煕彦『マーケティング・シミュレーション−情報化時代の戦略的活用法』同友館(1990)
朝野煕彦『マーケティングリサーチ最前線−データ収集のニューウェーブ』同友館(1992)
朝野煕彦上田隆穂(2000).『マーケティング&リサーチ通論』講談社サイエンティフィク 朝野煕彦『マーケティングリサーチ工学』朝倉書店(2000)
林英夫他『体系マーケティングリサーチ事典 新版』同友館(2000)

社会調査については
浅井 晃『調査の技術』日科技連出版社(1992)
島崎哲彦『社会調査の実際−統計調査の方法とデータの分析−』学文社(2000)

調査を実際にどう活かして行くかの具体例としては
陸正『変わる消費者、変わる商品−消費財の開発とマーケティング』中公新書(1994)
がいい。

最近はポストモダン研究がありかなり自由度が高まっているが、あやしい領域ほどしっかりした研究法が必要である。

定性的方法(qualitative method)
探索的研究においてよく用いられる予備調査的なもの,非構成的方法。

問題点をより完全な形で定義する。
あとに行う研究において検証するための仮説を立てる。
新製品や新サービスのコンセプト,種々の問題解決策,製品属性等々を創案する。
新製品に対する反応を予備調査的に調べる。構成的質問票をつくる前にプリテストを行う。
消費者のものの見方や言葉による表現をしる。自分がこれまで知らなかったような状況(特定分野のニーズとその充足状況,製品使用状況や使用上の問題点など)を把握する。
構成的リサーチでは追求できないようなことを把握する。(林ほか,2000)

内観法(自己観察法)、プロトコール分析(発話分析)、ケーススタディ(事例研究),参与観察法,民族誌の方法
 定点観測など。

以下の方法は定性的方法としても使えるが,定量的方法として使うことが多い。
観察
実験
調査
面接調査、電話調査、

検査

研究の第一歩
何が知りたいのかはっきりさせる
結果によってどういうアクションをおこすか?



内容からみた調査の種類(吉田正昭ほか『マーケティング・リサーチ入門』有斐閣新書(1983)p26)
マーケット調査個々の商品やブランドの市場の大きさや特性などのマーケットについての調査
消費者調査購買行動や使用状況、心理面をも測ろうとする調査(モチベーション・リサーチ、イメージ調査など)や消費者の行動、意識の面から細分化し、サブマーケットを抽出しようとする調査(ベネフィット・セグメンテーションなど)
商品調査商品がどの程度受け入れられるか、好ましい商品特性は何か、など新製品開発・改良や需要予測についての調査
流通調査販売戸数、取り扱いの有無、店頭・店内で顧客行動を調べる調査や販売店調査
プロモーション調査広告、キャンペーンの効果調査、あるいは広告表現や媒体接触調査


調査全体の流れ

調査全体の流れ

《参考》井上他『よりよい社会調査をめざして』創元社の流れ図

調査の構想

(1)調査課題の明確化

調査必要の背景・条件の確認

マーケティング課題か調査課題か

調査可能な課題か

仮説を考えたか


マーケティング課題か調査課題かのチェックポイント(吉田ほか,1983,p32)
与えられた課題がそのまま調査課題になるか?あるいはどのように翻訳すれば適切な調査課題となりうるか?

(a)具体的調査方法が想定できること(予算、スケジュールの検討が可能になりうる)

(b)比較的短期間の作業(2,3年も要する場合は総合的な基礎調査)

(c)客観的データが得られること

(d)得られたデータだけで課題について解答できること(主観的判断を交えず説明できる=>定性調査の場合はこれに縛られるとしんどい)

(e)仮説検証型の調査では最終的に結論がYES、NOで言える課題であること。


 マーケティング課題
利潤の増大
価格引き上げ、コスト低減、売上高増
現製品のマーケット拡大、新製品開発
現存マーケット内勢力拡大(シェア拡大)、未開拓マーケット開発(マーケットの拡大)
他のマーケットへの進出は 当該商品市場は拡大するか/先行市場は拡大するか
各市場の規模特性の分析

各市場の推移分析

市場構成商品の需要予測

商品の需要性の拡大・縮小(用途拡張の可能性)

マーケット進出に際しての政策の決定

先行市場における当該マーケットの大きさを規定する要因分析

地理的拡大の可能性

最終ユーザセグメントの拡大の可能性
消費者、小売り、卸、顧客、業種、地域別市場分析

時系列分析

生活パターンの変化の観点から商品ライフサイクルの判定

ターゲット決定のための顧客セグメンテーション

当該商品ジャンルの需要予測

自社製品の未進出の地域(国内、国外)の測定

非使用層の大きさと当該商品への好意度
 調査課題

下2つが調査課題。上2つはマーケティング課題

マーケティング課題から調査課題への例

(a)A商品の売り上げ5%アップ
     ↓
(b)新規顧客の創造
     ↓
(c)競合ブランド使用者の分析
     ↓
(d)競合ブランド使用者のブランドロイヤルティの測定
     ↓
(e)ブランドスイッチの可能性とその大きさの判断
     ↓
(f)ブランドスイッチの可能性のある層(A商品の潜在需要層)の特性の把握
     ↓
(g)デモグラフィックの側面、地理的側面その他の面からプロフィールを描く



(2)アプローチの検討

既存データで十分か、フィールド・データが必要か

数量データが必要か(定量調査[統計調査])
定性データはどうか(定性調査[典型調査、事例調査など])
お手軽調査は?(社内アンケート、販売店数店への飛び込み調査など準備調査)

規模はどうか(地域、課題の範囲)

既存データのリンク集
既存のデータから考察する例:富山を考えるヒント(データ集&考察)

(3)制約条件の考慮

予算・日程は決められているか


《参考引用文献》
林英夫・上笹恒・種子實・加藤五郎編著『体系マーケティングリサーチ事典 新版』同友館(2000)
吉田正昭・和田若人・仁科貞文『マーケティング・リサーチ入門−消費者のこころを測る』有斐閣新書(1983)

4月26日課題
(1)配布プリント(2001年4月12日毎日新聞,当世よろず観察「おもちゃに熱中する人々」岩村暢子)を読んで,そこから開発可能な商品またはサービスを企画してみよ。その開発根拠とした段落を番号で示し,商品,サービスへの結びつきを説明せよ。商品・サービスの具体性についてはいくつかの段階がありうる。

(2)schosa@stmail.ec.kagawa-u.ac.jp にメールする.添付ファイルは認めない。
メールの題名は「4月26日課題」「」はつけない。数字は半角
必ず学籍番号,氏名を入れること.
学内からはあて先は schosa でよいことに注意.提出は必ず香川大学のパソコンから学籍番号がわかるようにする.
なお,この4月の転学科生はレポート用紙での提出も可,堀研究室の前の袋に提出する.なお,写しをもっておくこと.

期限は2001年5月8日(火曜日)16時00分

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