Rosenberg日本語訳自尊心尺度の検討


堀 啓造(香川大学経済学部)
2003/10/31

counter: (2003/10/28に分析終了 2004/7/28とりあえず了)
最終更新日: ( 2004/7/22)
Rosenberg の自尊心尺度は自尊心研究においてよく使われる尺度である。そして尺度の一次元性などを巡って多くの研究が行われている。最近でも、Tafarodi and Ilne(2002)、Horan and Dsitefano(2003), Ferrando, Lorenzo-Seva, and Chico(2003)の研究がある。

self-esteemは英和辞書では自己尊敬,自尊(心),自負等訳されているが,自尊感情とは訳されていない.心理学では自尊感情が定訳となっているようだ.

  1. 日本語訳
  2. データ
  3. 信頼性分析
  4. 因子数推定
  5. 探索的因子分析
  6. 構造方程式モデリング
    1. 斜交2因子モデル
    2. CTCMモデル
  7. 引用文献
  8. 追加文献
  9. 山本らの訳の項目8が同一因子に入らない文献例
  10. 中川訳の分析例(脇田氏)

1.日本語訳

日本語訳は山本ほか(1982)にあるが,実際に訳した項目は山本(2001)にある。山本ほか(1982)では9項目が1因子になるとし,9項目の合計点を使っているが,どの項目が省かれたか記載されていない。山本(2001)では原論文の著者であるにもかかわらず9項目である点を無視し,10項目の足し算をすること,信頼性,妥当性があるといい述べている。不誠実な態度である。なお,今回の分析および他の研究からも「G もっと自分自身を尊敬できるようになりたい。」が使用できない項目である。
 並川ら(2006)によると最も使用されている尺度は山本ら訳(1982)の40件、次が星野訳(1970)20件である。総計は98件。



Rogsengerg(1965)の並び
4段階 1. Strongly agree 2. Agree 3. disagree 4. strongly disagree

1. I feel that I'm a person of worth, at least on an equal plane with others. (評価)
2. I feel that I have a number of good qualities. (評価)
3. All in all, I am inclined to feel that I am a failure. (*評価)
4. I am able to do things as well as most other people. (評価)
5. I feel I do not have much to be proud of. (*評価)
6. I take a positive attitude toward myself. (*受容)
7. On the whole, I am satisfied with myself. (*受容)
8. I wish I could have more respect for myself. (*受容)
9. I certainly feel useless at times. (受容)
10. At times I think I am no good at all. (*受容)
ac=受容、as=評価 by Tafarodi and Ilne(2002)

Rosenberg(1965)によると,Guttman尺度として再現性係数.93,項目としての尺度化係数.73, 個々の尺度化係数 .72

山本他訳(1982), 5段階

@ 少なくとも人並みには、価値のある人間である。(評価)
A いろいろな良い素質を持っている。(評価)
B 敗北者だと思うことがよくある。(評価 *)
C 物事を人並みには、うまくやれる。(評価)
D 自分には、自慢できるところがあまりない。(評価 *)
E 自分に対して肯定的である。 ( 受容)
F だいたいにおいて、自分に満足している。 (受容)
G もっと自分自身を尊敬できるようになりたい。 (受容 *)
H 自分は全くだめな人間だと思うことがある。 (10 受容 *)
I 何かにつけて、自分は役に立たない人間だと思う。 (9 受容 *)

清水使用尺度,4段階

(aは山本他訳, 順序がちょっと違う)
a01 少なくとも人並みには、価値ある人間である
a02 いろいろな良い素質を持っている
a03 敗北者だと思うことがよくある*
a04 物事を人並みには、うまくやれる
a05 自分には自慢できるところがあまりない*
a06 自分に対して肯定的である
a07 だいたいにおいて、自分に満足している
a08 自分は全くだめな人間だと思うことがある*
a09 何かにつけて、自分は役に立たない人間だと思う*
a10 もっと自分自身を尊敬できるようになりたい*


b01 私は少なくとも他の人と同じ程度には価値ある人間だと思う
b02 自分にはたくさんの長所があると思う
b03 自分を失敗者だと感じることが多い*
b04 何をしてもたいていは人と同じ程度にはうまくできる
b05 私には自慢できるようなものはほとんどない*
b06 自分を好ましい人間だと思っている
b07 自分に大体満足している
b08 自分はだめな人間だと思うことがときどきある*
b09 自分が役立たずな人間だと感じることがときどきある*
b10 自分をもっと尊敬できたらと思う*


星野命訳 (4段階)

1. 私はすべての点で自分に満足している
2. 私はときどき,自分がてんでだめだと思う
3. 私は,自分にはいくつか見どころがあると思っている
4. 私はたいていの人がやれる程度には物事ができる
5. 私にはあまり得意に思うところがない
6. 私は時々たしかに自分が役立たずだと感じる
7. 私は少なくとも自分が他人と同じレベルに立つだけの価値がある人だと思う
8. もう少し自分を尊敬できたらばと思う
9. どんなときでも例外なく自分も失敗者だと思いがちだ
10. 私は自身に対して前向きの態度をとっている

中川作一訳 (4段階)

1. だいたい私は自分に満足している
 (1.大いに満足している,2.満足している,3.あまり満足していない,4.少しも満足していない)
2.時々私は駄目な人間だと思う。
 (1.大いにそう思う,2.そう思う,3.あまり思わない,4.少しも思わない)
3.私には長所がたくさんあると思う。
 (1.大いにそう思う,2.そう思う,3.あまり思わない,4.少しも思わない)
4.私はふつうの人と同じくらいの力量はもっていると思う。
 (1.大いにそう思う,2.そう思う,3.あまり思わない,4.少しも思わない)
5.私はじつは使いみちのない人間だと思うことがある。
 (1.よくそう思う,2.そう思うこともある,3.あまり思わない,4.そうは思わない)
6.私はこれだけは誇りにしていいと思うものをあまりもっていない。
 (1.つよくそう思う,2.そう思う,3.あまり思わない,4.少しも思わない)
7.私は少なくとも他の人たちと同じように生きる価値はあると思う。
 (1.もちろんそう思う,2.そう思う,3.あまり思わない,4.少しも思わない)
8.私はもっと自分自身を尊重する気持ちになれないものだろうかと思う。
 (1.そう思う,2.そう思うこともある,3.それほど思わない,4.そうは思わない)
9.結局のところ私は人生の落伍者だと思いたくなる。
 (1.つよくそう思う,2.そう思う,3.そうならない,4.少しもそうならない)
10.私はいつも自分自身を積極的に生かしている。
 (1.大いに生かしている,2.生かしている,3.あまり生かしていない,4.少しも生かしていない)
 
 中川尺度の分析が下にある。

小塩(5段階)

SE1 私は,自分に満足している
SE2 私は,自分がだめな人間だと思う
SE3 私は,自分には見どころがあると思う
SE4 私はたいていの人がやれる程度には物事ができる
SE5 私には得意に思うことがない
SE6 私は,自分が役立たずだと感じる
SE7 私は自分が,少なくとも他人ぐらいは価値のある人間だと思う
SE8 もう少し自分を尊敬できたらと思う
SE9 自分を失敗者だと思いがちである
SE10 私は自分自身に対して,前向きの態度をとっている

市村・田中(4段階)(2003) 訳語検討,8は外れる

1.私は,自分に大体は満足している
2.私は自分がだめな人間だと思うことがある
3.私は,いくつもの長所があると思う
4.私は,たいていの人と同じように物事ができる
5.私には,自分に誇りと思えることがほとんどない
6.私は,役立たずな人間だと感じることがある
7.私は,少なくとも他の人と同じ程度には価値ある人間だと思う
8.私は,もう少し自分自身を大切に出来たらと思う
9.私は,いつも後悔することが多い
10.私は,自分に前向きな態度をとっている

豊田・松本(4段階)(2004):大学生の自尊心と関連する諸要因に関する研究51

1.私は少なくとも人並みに価値のある人間だと思う。
2.私は長所をたくさんもっている。
3.自分を失敗者だと感じることが多い。*
4.私は物事を人並みにできる。
5.私は誇りに思っていることがあまりない。*
6.私は自分を見込みのある人間だと見ている。
7.自分にだいたい満足している。
8.自分をもっと尊敬できたらと思う。*
9.自分は役立たずな人間だとときどき感じる。*
10.自分はだめな人間だと思うことがときどきある。*
とてもそう思う−全くそう思わない;4件法   *逆転項目

梅垣(4段階)(2006):ローゼンバーグ自尊感情尺度の次元性の検討 日本教育心理学会第48回総会発表論文集, 499

1.私は少なくとも自分が他人と同じレベルにたつだけの価値ある人間だと思う。(1)
2.私は、いくつか見どころがあると思っている。(3)
3.どんなときでも例外なく、自分を失敗者だと思いがちだ。*(2)
4.私はたいていの人がやれる程度には物事ができる。(5)
5.私にはあまり得意に思うことがない。(4)*
6.私は自信に対して前向きの態度をとっている。(7)
7.だいたいにおいて、自分に満足している。(9)
8.もう少し自分を尊敬できたならばと思う。(6)*
9.何かにつけて、自分は役に立たない人間だと思う。(10)*
10.自分は全くだめな人間だと思うことがある。(8)*
とてもそう思う−全くそう思わない;4件法   *逆転項目

2.データ

堀 啓造(2002) spssデータファイル
清水ab spss用変数名等

註 山本ら訳の堀(2002)データの分布(systat使用)


3.信頼性分析

堀(2002)

Item-total Statistics

        Scale     Scale   Corrected
        Mean     Variance    Item-      Alpha
       if Item    if  Item    Total      if  Item
       Deleted    Deleted  Correlation    Deleted

T2001     28.7500    37.5973    .6745      .7891
T2002     28.9608    39.3384    .5906      .7989
T2003     29.3088    39.7416    .3986      .8179
T2004     28.8627    39.9023    .4830      .8081
T2005     29.5049    37.7684    .5951      .7962
T2006     29.2941    38.6323    .5798      .7985
T2007     29.5245    38.8418    .5094      .8054
T2008     28.2892    45.0834    .0657     .8478 <---
T2009     29.5343    37.6786    .5075      .8063
T2010     28.9265    35.6054    .7232      .7808
Reliability Coefficients
N of Cases =  204.0          N of Items = 10
Alpha =  .8218

清水a

Item-total Statistics

        Scale     Scale   Corrected
        Mean     Variance    Item-      Alpha
       if   Item    if  Item    Total      if  Item
       Deleted    Deleted  Correlation    Deleted

A01      24.4897    22.9739    .6176      .8429
A02      24.7724    23.0242    .5976      .8444
A03      24.6414    21.8288    .5675      .8479
A04      24.6069    23.8097    .5397      .8492
A05      24.9931    21.9236    .6675      .8377
A06      24.7172    23.1487    .6023      .8442
A07      24.8552    23.1942    .5466      .8484
A08      24.7379    22.0975    .5963      .8443
A09      24.5655    22.0946    .7610      .8315
A10      25.5862    24.7443    .2722     .8727 <---

Reliability Coefficients

N of Cases =  145.0          N of Items = 10

Alpha =  .8598

清水b
Item-total Statistics

        Scale     Scale   Corrected
        Mean     Variance    Item-      Alpha
       if  Item    if  Item    Total      if  Item
       Deleted    Deleted  Correlation    Deleted

B01      23.6759    24.9011    .4665      .8471
B02      24.0276    24.3603    .4840      .8458
B03      23.7931    22.5819    .6507      .8311
B04      23.7448    25.0664    .4403      .8490
B05      23.8828    22.5209    .7030      .8268
B06      24.0207    23.4371    .6304      .8340
B07      24.2276    22.9965    .5938      .8365
B08      24.2552    22.8580    .5582      .8401
B09      24.1172    22.6181    .6206      .8339
B10      24.7103    23.8044    .4383      .8517

Reliability Coefficients

N of Cases =  145.0          N of Items = 10

Alpha =  .8535

B10      25.5862    24.7443    .4179      .8727

Reliability Coefficients

N of Cases =  145.0          N of Items = 10

Alpha =  .8696

A10      24.7103    23.8044    .2802      .8517

Reliability Coefficients

N of Cases =  145.0          N of Items = 10

Alpha =  .8417


8. I wish I could have more respect for myself. 項目の検討

2つの翻訳の違いが尺度上の問題を生じさせている可能性がある。
G もっと自分自身を尊敬できるようになりたい。
b10 自分をもっと尊敬できたらと思う

堀、清水aの場合、総和との相関が低くクロンバックのα係数もこの項目を削除したほうが高くなり、削除するべき項目であることがわかる。もう一つの訳の清水bでは総和との相関が一番低いが、この項目を削除してもクロンバックのα係数は低くならない。
 この項目だけを入れ替えて分析してみると、清水a,b ともクロンバックのα係数から削除すべき項目となる。
 この項目の訳した項目はいずれも問題があるが、山本らの訳は明らかにだめである。おそらく意味が不明瞭になっているためと思われる。

他の項目についても検討すべきであろう。山本らのネガティブなワーディングにきつい表現が多いのも気になるところである.

総和との相関係数 削除したときの
クロンバックのα係数
全項目の
クロンバックのα係数
.066 .848 .822
清水a  .272 .873 .860
清水b .438 .852 .854
 清水a+(b10) .418 .873 870
清水b+(a10) .280 .852 .842

4.因子数推定

 MAP    PA smc95
1 3
堀 9項目 1 2
清水a  1  3
清水a 9項目  1 2
清水b  2  2

5.探索的因子分析

http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/chosadata/index.html#plot 参照

階層因子分析の結果はhttp://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/chosadata/index.html#high 参照.

9項目の時の解は各自求めてください.

6.構造方程式モデリング

 AMOSによって斜交2因子解とCTCM(correlatede trait, correlated method)解を求めた.それぞれ最適になるように誤差間相関を入れている.斜交2因子解は複雑になりすぎて明らかに失敗である.CTCM解はなんとか許せる範囲に入っている.
 
 多特性多方法概念から,Marsh(1996)がCTCU(correlated traits,correlated uniquenesses)枠組みを示した.これはネガティブ項目の誤差項I独自性)間に相関を入れるものである.いわばネガティブ項目間の関係を人為的なもの(ゴミ)と考えるやり方である.
 
 それに対してTomas and Oliver(1999)はCTCM(correlated traits, correlated method)とする枠組みをだした.全体の因子とネガティブな用語法項目に連合したワーディング効果を含めるのである.
 
 それぞれがそれぞれのモデルの良さを示した.Horan et al(2003)は自尊心,学校への態度,統制の位置それぞれのネガティブ・ワーディング因子を見いだし誤差項間相関ではなく因子として成立することを示した.
 
 Vautier, Callahan, Moncany,and Sztulman(2004)はparceling(定訳はあるのかな? ヤマト言葉だと「くくり(括り)」のような)を使って上のCTCM を解釈している.それによるとポジティブ項目の括りで全体を表し,ネガティブ項目はそれの直交部分としてとらえる.その分析法がSEMではCTCM 枠組みと同じ事になる.Vautierら(2004)はそうすることによって特性不安をうまくとらえられることを示した.Vautierらの解釈と同じく,自尊心でも極端な自己卑下と解釈できる因子がでてくる.この考えだと単なるネガティブワーディングの効果とはしないで因子に意味づけがなされる.
 
 DiStefano & Motl (2006)はHoranらの追試と拡張をしている。CTCM, CTCUの対決ではネガティブ項目間に誤差相関を入れるCTCUモデルが最適解となる。しかし、他の尺度との関連でネガティブ尺度間相関を考慮するCTCMは有効であり、特性としてネガティブ尺度因子を考えることができる事を示し、さらにネガティブ尺度因子と性格因子が関連することを示し、特性因子であることを明確にした。
   
   探索的因子分析ではこのようなモデルは考えられない.素朴に2因子とするか階層因子,高次因子を想定する程度である.SEMを使った分析は必要となる.
   

6.1.斜交2因子モデル

6.2.CTCMモデル


引用文献

Bentler, P. M., Jackson, D. N., & Messick, S. (1971). Identification of content and style: A two-dimensional interpretation of acquiescence. Psychological Bulletin, 76,186-204.

Corwyn, R. F. (2000). The factor structure of global self-esteem among adolescents and adults. Journal of Research in Personality, 34, 357-379.

DiStefano, D., & Motl, R. W. (2006). Further investigating method effects associated with negatively worded items on self-report surveys. Structural Equation Modeling, 13, 440-464.

遠藤辰雄・井上祥治・蘭千寿(編). (1992). セルフ・エスティームの心理学─自己価値の探求 ナカニシヤ出版

Ferrando,P., Lorenzo-Seva,U., and Chico,E.(2003). Unrestricted factor analytic procedures for assessing acquiescent responding in balanced, theoretically unidimensional personality scales. Multivariate Behevioral Reseach, 38(3). 353-374.

Horan, P.M., and DiStefano, C. (2003). Wording effects in self-esteem scales:methodological artifact or response style? Structural Equation Modeling, 10(3),435-455.

Marsh, H. W. (1996). Positive and negative global self-esteem: A substantively meaningful distinction or artifactors? Journal of Personality and Social Psychology, 70, 810-819.

中川作一 (1990). 自己形成の心理学 TASC monthly, 1990年5月号, 4-11.
脇田貴文氏@名古屋大学教育発達科学研究科に文献を教えていただいた.記して感謝する.

並川努・脇田貴文・野口裕之 (2006). 評定尺度法に関する諸問題の検討I─Rosemberg自尊心尺度を用いた予備的検討 日本教育心理学会第48回総会発表論文集, 96.
中川訳と山本ら訳のIRTのパラメータの比較。

小塩 真司 (2003).心理データ解析 第8回(3) http://psy.isc.chubu.ac.jp/~oshiolab/teaching_folder/datakaiseki_folder/08_folder/da08_03.html すでにネットからこのデータはなくなっている

Rosenberg, M. (1965). Society and the adolescent self-image. Princeton University Press.

清水和秋 例題データ1 http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~shimizu/spss1/sdata1.html 太島涼子(社93-619)、谷口真努香(社93-622)、寺田和宏(社93-632) による共同収集

Tafarodi, R. W., and Ilne, A. B. (2002). Decomposing global self-esteem. Journal of Personality, 70, 443-483.

田中道弘・上地勝・市村國夫 (2003). Rosenbergの自尊心尺度項目の再検討 茨城大学教育学部紀要(教育科学), 52号, 115-126.
訳を変えてみる.変えてもやはり項目8は因子のなかに入らない.研究1では星野訳版

Tomas, J. M., & Oliver, A. (1999). Rosenberg's Self-Esteem Scale: Two factors or method effects. Structural Equation Modeling, 6, 84-998.

豊田加奈子・松本恒之 (2004). 大学生の自尊心と関連する諸要因に関する研究 東洋大学人間科学総合研究所紀要 1, 38−54

梅垣武(2006).ローゼンバーグ自尊感情尺度の次元性の検討 日本教育心理学会第48回総会発表論文集, 499.

山本真理子(編)(2001). 心理測定尺度集I−人間の内面を探る<自己・個人内過程> サイエンス社

山本真理子・松井豊・山成由紀子(1982). 認知された自己の諸側面 教育心理学研究, 30, 64-68.

Vautier, S., Callahan, S,. Moncany,and Sztulman, H. (2004). A bistable view of single constructs measured using balanced questionnaires: Application to trait anxiety. Structural Equation Modeling, 11(2), 261-2271

脇田貴文 (2004). 私信
中川の尺度では項目7が外れる(脇田 2004印刷中 心理学研究のデータ)


Wang,H., Siegal, H.A., Falck, R.S., and Carlson, R. G. (2001). Factorial structure of Rosenberg's self-esteem scale among crack-cocaine drug users. Structural Equation Modeling, 8(2), 275-286.


追加文献

青木理絵子・清水和秋 (2004). Rosenbergの自尊感情尺度の因子構造 日心第68回大会第68回大会発表論文集(関西大学), p74.
山本ほか訳の尺度をsemによりどのモデルがよいか判定.階層因子モデルがベスト. but かなり誤差間相関が入っていてきたない.very good, good enough でも検討.

Blascovich, J. and Tomaka, J. (1991). Measures of self-esteem. in John P. Robinson, Phillip R. Shaver, and Lawrence S. Wrightsman (eds.) Measures of personality and social psychological attitudes: Volume 1 in measures of social psychological attitudes sereies. Academic Press. pp115-160.

Heatherton, T. F., and Wyland, C. L. (2003). Assessing self-esteem. in Shane J. Lopez and C. R. Snyder (eds.) Positive psychological assessment: A handbook of models and measures. American Psychological Association. pp219-233.

伊藤忠弘 (1994). 自尊心概念および自尊心尺度の再検討 東京大学教育学部紀要, 34, 207-215.

Kaplan, J. B., and Pokormy, A. D. (1969). Self-derogation and pyschosocial adjustment. Journal of Nervous and Mental Disease, 149, 421-434.
最初の2因子論文らしい.項目7は2因子での共通性が.21 であり,他の項目よりも明らかに低い(次に小さいのが.32)
負荷量から再分析し,1因子解を求めると項目7の共通性が最も低く0.169であった.このことからは項目7は排除できない.

北山忍・唐澤真弓 (1995). 自己:文化心理学的視座 実験社会心理学研究, 35, 133-163.
直接的自己肯定(positive尺度),間接的自己肯定(negative尺度),日本的自己尺度, 自己高揚と自己向上

北山忍・宮本百合 (2000). 文化心理学と洋の東西の巨視的比較──現代的意義と実証的知見── 心理学評論, 43, 57-81.
自尊心と他者からの情緒的援助と主観的幸福感

溝上慎一 (1999). 自己の基礎理論──実証的心理学のパラダイム 金子書房
星野訳使用, good enough, very goodの検討

Rosenberg, M. (1989). Society and the adolescent self-image. Wesleyan University Press.
Wesleyan 版前書き追加

脇田貴文 (2004). 評定尺度法におけるカテゴリ間の間隔について──項目反応モデルを用いた評価方法── 心理学研究, 75, 331-338.
中川氏の尺度を使用している。下に信頼性・因子分析等分析結果
渡邊恵子・草野いづみ (2001). 自尊心の測定に関する一方法論的検討−ローゼンバーグ尺度のネガティヴ項目逆転処理の問題− 母子研究, No.21, 111-118.
星野命の尺度使用.尺度のポジティブ,ネガティブを言葉で反転させてみる.因子分析はしていないが相関行列がでている.
被験者数が66人と不足であるが,相関行列を因子分析したところ,排除すべき項目はとくにないようだ.
Whiteside-Mansell, L. and Corwyn, R. F. (2003). Mean and covariance structures analyses:An examination of the Rosenberg Self-Esteem Scale among adolescents and adults. Educational & Psychological Measurement. 63(1), 163-173.
共分散行列がある.

山本らの訳の項目8が同一因子に入らない文献例

山本真理子・松井豊・山成由紀子(1982). 認知された自己の諸側面 教育心理学研究, 30, 64-68.
 どの項目かは明言していない.
 
松田信樹 (2000). 自尊感情の死の不安低減効果に関する研究 日本教育心理学会第42回総会発表論文集, p457.

谷冬彦 (2001). 青年期における同一性の感覚の構造:多次元自我同一性尺度(MEIS) の作成 教育心理学研究, 40, 265-273.

伊藤裕子 (2001). 青年期女子の性的同一性の発達:自尊感情,身体満足度との関連から 教育心理学研究, 49, 458-468.

鎌倉利光・安藤寿康 (2004). セルフエスティームとパーソナリティとの関連における遺伝と環境 日心第68回大会発表論文集(関西大学), p44.

谷口淳一・小林知博 (2004). 一般的自己呈示尺度作成の試み(2) 日心第68回大会発表論文集(関西大学), p117.
  論文集には書いていないが,personal communication(2004).


中川訳尺度の分析

(ただし,「あてはまらない」「あまりあてはまらない」「どちらともいえない」「ややあてはまる」「あてはまる」 の5件法)

脇田貴文 (2004). 評定尺度法におけるカテゴリ間の間隔について──項目反応モデルを用いた評価方法── 心理学研究, 75, 331-338. において使用したデータの分析結果を頂いた。

項目が削除された場合の Cronbach のαから「a7 私は少なくとも他の人たちと同じように生きる価値はあると思う」を尺度に付け加える意味はない。これは山本らの尺度(a8)と異なる項目である。オリジナルに作成した尺度なら文句なしに削除項目である。じゃまをしないという意味ではおいていてもいいかもしれない。被験者の負担を考えれば削除する項目となる。マージナルな結果と言えよう。因子分析的にもあってもいい項目である。1因子として許せる範囲にいるようである。
 脇田しもメールにおいて言及してますが,a7項目が天井効果を起こしているためのものでしょう。堀のデータにおいても大きな歪みが生じているのが a8 (t2008) である(
参照)。このような歪みは因子分析においては問題だが,Guttman尺度においては問題にならない点に注意しよう。
脇田データ分析へ

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脇田氏の中川訳データの分析
項目度数最小値最大値平均値標準偏差
1だいたい私は自分に満足している 377152.841.09
2時々私はだめな人間だと思う 377153.911.07
3私には長所がたくさんあると思う 377152.960.90
4私はふつうの人と同じくらいの力量は持っていると思う 375153.421.01
5私は実は使い道のない人間だと思うことがある 376152.611.23
6私はこれだけは誇りにしていいと思うものをあまり持っていない 375153.001.33
7私は少なくとも他の人たちと同じように生きる価値はあると思う 375154.250.92
8私はもっと自分自身を尊重する気持ちになれないものだろうかと思う377153.341.23
9結局のところ私は人生の落後者(おちこぼれ)だと思いたくなる 376152.361.27
10私はいつも自分自身を積極的に生かしている 377152.851.04

信頼性統計量
Cronbach のアルファ標準化された項目に基づいた Cronbach のアルファ項目の数
0.820.8210.00

項目合計統計量
項目が削除された場合の尺度の平均値項目が削除された場合の尺度の分散修正済み項目合計相関重相関の 2 乗項目が削除された場合の Cronbach のアルファ
a1だいたい私は自分に満足している 28.2239.050.570.390.80
a2r時々私はだめな人間だと思う 28.9641.250.410.200.81
a3私には長所がたくさんあると思う 28.1141.470.500.290.81
a4私はふつうの人と同じくらいの力量は持っていると思う 27.6440.810.480.290.81
a5r私は実は使い道のない人間だと思うことがある 27.6737.270.620.440.79
a6r私はこれだけは誇りにしていいと思うものをあまり持っていない 28.0538.430.470.260.81
a7私は少なくとも他の人たちと同じように生きる価値はあると思う 26.8243.110.330.190.82
a8r私はもっと自分自身を尊重する気持ちになれないものだろうかと思う28.4039.250.470.290.81
a9r結局のところ私は人生の落後者(おちこぼれ)だと思いたくなる 27.4236.160.670.500.79
a10私はいつも自分自身を積極的に生かしている 28.2039.960.530.320.80

主因子法
固有値
3.90
1.04
1.01
0.78
0.71
0.61
0.58
0.55
0.46
0.36

因子負荷  h2
a9結局のところ私は人生の落後者(おちこぼれ)だと思いたくなる 0.750.56
a5私は実は使い道のない人間だと思うことがある 0.680.47
a1だいたい私は自分に満足している -0.630.40
a10私はいつも自分自身を積極的に生かしている -0.590.35
a3私には長所がたくさんあると思う -0.550.31
a6私はこれだけは誇りにしていいと思うものをあまり持っていない 0.530.28
a8私はもっと自分自身を尊重する気持ちになれないものだろうかと思う0.530.28
a4私はふつうの人と同じくらいの力量は持っていると思う -0.530.28
a2時々私はだめな人間だと思う 0.450.20
a7私は少なくとも他の人たちと同じように生きる価値はあると思う -0.370.14
3.26

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