鉄腕アトム


堀 啓造(香川大学経済学部)
2002/01/01

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最終更新日:
途中ですが,資料はそれなりに使えると思うので,公開しまう。未定稿ということで取り扱い注意。(2002年5月4日)
  • 雑誌連載
  • コミック版
  • アニメ
  • 手塚治虫の改作
  • 『鉄腕アトム』と「データベース消費
  • 手塚治虫自身のコメント
  • 「鉄腕アトム」のテーマ
  • 手塚治虫の創作技法としての記号論的対立
  • ロボット法
  • 手塚治虫は超一流
  • 引用文献
  • 資料 アトムサブタイトル,講談社手塚治虫漫画全集,朝日ソノラマ 光文社文庫掲載巻
    「鉄腕アトム」は手塚治虫(1928.11.3-1989.2.9 享年60歳)の作品。どのメディアにおいて接したかによって異なるものになっているだろう。雑誌連載,コミックス,アニメにおいてそれぞれ内容が異なっていると考えなければいけない。まず,いつどのように露出されたかを明確にする。

    私自身,『少年』連載時に読んでいるが,小学校時代しか読んでいないので,すべてを『少年』で読んだわけでない。その後,テレビアニメが始まりこれをよく見ていたが,やはり最終回までは見たかどうか定かではない。カラー版はほとんど見ていない。その後かなりの年月が過ぎてから,朝日ソノラマ版サンコミックスと講談社版『手塚治虫漫画全集』を読んだ。

    カラー版アニメのDVDを2002年4/5月の連休に見てしまった。現在、白黒版アニメを見ている途中である。まだ、DVD-BOX1 の3である。

    雑誌連載

    「鉄腕アトム」は雑誌『少年』に 1952/04-1968/03(23歳〜39歳)に渡って連載された漫画である。『少年』廃刊とともに終了した。そのほか,アトムの前身である,1951年(手塚治虫が大阪大学医学専門学部卒業年22歳)〜1952年に『少年』に連載された「アトム大使」や1964年から1966年に『鉄腕アトムファンクラブ』に連載されたものおよび,産経新聞連載(1967年1月24日〜1968年4月19日)の「アトム今昔物語」などがある。このほかニコニココミックに連載された「アトムキャット」(1986年7月号〜1987年2月号) も関連にいれたほうがいいかもしれない。

    鉄腕アトム雑誌連載
    タイトル掲載誌(紙)年月
    アトム大使少年1951/04-1952/03
    鉄腕アトム少年1952/04-1968/03
    鉄腕アトム鉄腕アトムファンクラブ1964/08-1966/03
    鉄腕アトム
    (アトム今昔物語)
    産経新聞1967年1月24日〜1968年4月19日
    新・鉄腕アトム小学二年生1980/09-1981/11


    その他の連載を含め倉田わたる氏の解説(鉄腕アトム(小学一年生版) 鉄腕アトム(小学四年生版)


    鉄腕アトムのキャラクターは次のところに紹介されている。

    鉄腕アトムのキャラクターなど
     http://ja-f.tezuka.co.jp/manga/sakuhin/m025/m025_01.html

    キャラクターのことばによる説明
     http://www.infomadonna.ne.jp/~nnek/chrpt/sk/tz/t3.htm

    天馬博士,お茶の水博士の生年
     http://www.asahi-net.or.jp/~hi5k-stu/tezuka/t_shrt13.htmによると,天馬博士1966年生まれ(丙午),お茶の水博士1952年生まれ(沖(1996)では1953年生まれ)。

    ヒゲオヤジは沖(1996 ,px)によると1971年生まれ(「ホットドッグ兵団」のとき42歳といっている)。天馬博士よりも年寄りに設定されているものと思っていた。30代で白髪のヒゲはちょっとね。ゴマ塩ヒゲは見たことあるけど。

    アニメカラー版(1980-1981)の鉄腕アトムDVDについている解説書(2001年10月25日パイオニアLDC)中に『(新)鉄腕アトム』企画書再録のなかにレギュラーの設定がある。

    アトム 10歳135cm30kg
    ウラン 6歳位
    パパ  35歳
    ママ  27歳
    お茶の水博士 60歳
    ヒゲオヤジ 42歳位
    田鷲警部 40歳位
    中村警部 40歳位
    スカンク 40歳位

    とある。(新)鉄腕アトムでは2030年の設定だから「少年」連載とはちょっと違っているかもしれないがそれほど大きくは違っていないだろう。天馬博士も年令が欲しい。丙午生まれでなくなっているのであえて言わないのか。



    アトムが天馬博士にファーザーコンプレックスを抱いているという説があるが,2人の関係は,孫と祖父というところっではないか。天馬博士はアトムがとても困ったときに現れて困難を解決してやる甘い祖父である。父親なら,厳しいしつけが必要であって,ヒステリックに身長が伸びることなぞ要求せんであろう。

    カラー版鉄腕アトムアニメによるとアトムは小学3年生(8歳)。アトム今昔物語(3)ではヒゲオヤジの試験の結果,小学5年生編入。


    コミック版

    手塚治虫はコミック版のなかでもいろいろ書き換えるので有名である。
    鉄腕アトムのコミック版は次のところに詳しい。

    鉄腕アトムのコミック版各種
    http://ja-f.tezuka.co.jp/manga/backlist/te19/index.html
    (ここにある単行本に納められている漫画のリストは完全でないものがあります。例えば光文社手塚治虫漫画全集鉄腕アトム1は「フランケンシュタイン」のほか「海蛇島」「火星探検」が納められている)

    中条(1989)のリストと上のサイトから講談社手塚治虫漫画全集以後を補うと次のようになる。
    アトム単行本史
    出版社タイトル巻数出版年サイズ
    光文社光文社のマンガ全3巻1956-1957A5判上製
    光文社手塚治虫漫画全集全8巻1958-1960A5判上製
    光文社カッパコミックス『鉄腕アトム』全32巻増刊2冊1964-1966B5判並製
    鈴木出版手塚治虫全集全1巻1965B5判上製箱入
    光文社カッパコミックスデラックス全3巻1965B5判上製
    凸版商事虫プロミニまんが全3巻1966ミニサイズ並製
    小学館ゴールデンコミックス『手塚治虫全集』全20巻1968-1970新書判並製
    朝日ソノラマサンコミックス全21巻 別巻11975-1976新書版並製
    講談社手塚治虫漫画全集全18巻 別巻2
    アトム今昔物語全3巻
    1979-1982B6判並製
    大都社鉄腕アトム全1巻1982A5判
    講談社KCスペシャル『鉄腕アトム』全7巻1987B6判
    光文社光文社文庫「少年」傑作選第1巻1989文庫判
    講談社講談社コミックス全15巻1992-1993四六判
    光文社光文社文庫コミックシリーズ全15巻1995文庫判
    光文社鉄腕アトムORIGINAL全1巻1997B5版
    秋田書店サンデー・コミックス全21巻 別巻21999-2000新書
    講談社講談社漫画文庫全15巻2002文庫判
    小学館my first big全9巻2003新書

    講談社手塚治虫漫画全集の作品リストを簡単にみるには次のサイト
    http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/osamu_24.html

    作品の要約については次のサイト
    Encyclopedia of Osamu Tezuka 手塚治虫のすべて 検索がわかりやすくなりました。これなら私の上の表がいらない。
     1951 1952 1953 1954 1955 1956 1957 1958 1959 1960 1961 1962 1963 1964 1965 1966 1967 1968


    朝日ソノラマサンコミックス版にある手塚治虫の作品解説の紹介およびコメントはクラ倉田わたる氏の「付録A:全集未収録作品リスト」頁の1975年以降にある。http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/osamu_4.html (」例えば 「鉄腕アトム:アトム誕生」)


    アニメ

    アニメ 全193話(白黒版 フジテレビ系) 1963.1.1〜1966.12.31
    1963年1月1日〜1963年12月31日 火曜18:15〜18:45 1964年1月4日〜1966年12月31日 土曜19:00〜19:30
    http://ja-f.tezuka.co.jp/anime/sakuhin/ts/ts002.html あらすじ
    脚本など
    http://members.tripod.co.jp/animelist/ad/Atom1.htm

    DVD-BOX 全6BOX box1, box2 はすでに発売中。日本コロンビア およびhttp://columbia.jp/dvd/mushipro/list.html

    NHKが鉄腕アトムの特集を組んだがこのときのアニメは白黒版
    鉄腕アトム あなたが選ぶベストアニメ決定
    http://www.nhk.or.jp/atom/top2.html
    http://www.nhk.or.jp/atom/best20_4.html
    1. 第 193 話 『地球最大の冒険』
    2. 第 1 話 『アトム誕生』
    3. 第 117 話 『史上最大のロボット(後)』
    4. 第 116 話 『史上最大のロボット(前)』
    5. 第 179 話 『青騎士(前)』
    6. 第 180 話 『青騎士(後)』
    7. 第 9 話「ブラックルックス」
    8. 第 37 話「ウランちゃん」
    9. 第 10 話「イワンの馬鹿」
    10. 第 71 話「地球最後の日」
    11. 第 126 話「ロボイド」
    12. 第 56 話「地球防衛隊」
    13. 第 93 話「コバルト」
    14. 第 109 話 『不死鳥』
    15. 第 53 話「さようなら1963年」
    16. 第 129 話「アトム対アトム」
    17. 第 39 話 『赤い猫』
    18. 第 32 話「ホットドッグ兵団」
    19. 第 19 話 『アトム対魔神』
    20. 第 82 話「ロボット競技大会」
    21. 第 151 話「ひとりぼっちのアトム」
    22. 第 16 話「白い惑星号」
    23. 第 45 話「クレオパトラの首飾り」
    24. 第 148 話「ロビオとロビエット」
    25. 第 50 話「アトム西部へ行く」
    26. 第 7 話「アトム大使」
    27. 第 26 話「アトラス」
    28. 第 88 話「細菌部隊」
    29. 第 22 話「海蛇島」
    30. 第 96 話「ロボットヒューチャー」
    (NHKでは同順位のものも並んだ順に順位づけしてしまっている。例30位は29位と同順)

    NHKBS2 2002年8月12日(月)〜16日(金)・19日(月)〜23日(金)後8・00〜8・55
    鉄腕アトム 夏休みセレクション

     20本の作品は1988年に開催された「アトム文化フォーラム」のために手塚治虫自身が選んだ作品から16本と、「まるごと大全集」の視聴者リクエストで上位に入りながらも放送されていない作品などから放送。

    8/12(月) 第1話「アトム誕生」 第19話「アトム対魔神」
    13(火) 第21話「人工衛星R−45」 第29話「想い出の日」
    14(水) 第57話「ロボット学校」 第77話「ケープタウンの子守歌」
    15(木) 第80話「ヒューマノイドピル」 第86話「時間銃」
    16(金) 第88話「細菌部隊」 第90話「ロボット砦」
    19(月) 第93話「コバルト」 第109話「不死鳥」
    20(火) 第114話「メトロモンスター」 第129話「アトム対アトム」
    21(水) 第116話「史上最大のロボット・前編」 第117話「史上最大のロボット・後編」
    22(木) 第131話「ムーンチャンピオン」 第142話「ミーニャの星」
    23(金) 第162話「キャンデー作戦」 第193話「地球最大の冒険」


    アニメ(カラー版 日本テレビ系)全52話 1980.10.1〜1981.12.23
    1980年10月1日〜1981年12月23日 水曜19:00〜19:30
    http://ja-f.tezuka.co.jp/anime/sakuhin/ts/ts017.html
    脚本など
    http://www.geocities.co.jp/Playtown/3064/Atom2.htm

    DVD版はパイオニアLDC社が2001年、2002年5枚組の鉄腕アトムDVD-box1DVD-box2としてすでに完結している。

    手塚治虫アニメワールド参照のこと
    http://columbia.jp/dvd/mushipro/list.html

    新しいアニメのキャンペーンが始まっている。
    http://astroboy.jp/
    天馬博士の日記がある。netscape 7.0では中を読めなかった。IE なら読むことができる。
    キャラクター紹介もある。
    右上がボタンになっている。

    手塚治虫の改作

     雑誌の連載からコミック版にするときタイトルや広告などがなくなるためにある程度改作するのは必然的な事である。手塚治虫はそれ以上に変更を加えることで有名である。
    藤川(1989)は手塚治虫の次のことばを紹介している。

    「切ったりつないだりは,私にとって作品編集のだいご味です。ちょうど映画のエディターが,フィルムをチョンチョンぶっ切って編集していくような楽しい気持ちです」

    藤川によると200頁の「前世紀」に500枚以上の無駄なコマをつくり,「来るべき世界」では600頁を300頁まで締めてる。藤川の発表は1963年であるから,手塚治虫は初期のころから編集が好きだった。

    「鉄腕アトム」に関して,藤川(1989)は「十字架大陸の巻」前半が『少年』では389コマだったものが光文社手塚治虫漫画全集では343コマに減っていることを指摘している。残念ながら前半がどこまでかわからないので手持ちの本との比較ができない。

     しかし,編集というよりも,もっと改変を行っている。野口(1999)は次のように言っている。

     雑誌に連載された自作のことを,手塚治虫は原作と言っていた。原作付きの映画は大抵,原作とは筋が違っているものだが,それと同じく,手塚漫画は単行本になると,連載時の元版(原作)とは大なり小なり違っているのであり,手塚は自ら原作という言葉を使うほど作品を変貌させることを愉しんでいたのだが,それは映画で言えば,まさに編集の醍醐味だったのだろう。
     (中略)
     …,手塚は,ただ短くするためだけにコマやエピソードを切り捨てていただけでなく,色々と,それはもう色々なパターンで,時には近頃のビデオのように,一度切り捨てた場面を復活させたり,30年も40年を経てから描き変えたりしながら,作品を変貌させ続け,幾つものバージョンを生み出し,自身,それを大いに愉しんでいたのだ。
    単なる編集ではなく,原作に対する処理だから,せりふもよく変えている。藤川(1989)が「フランケンシュタイン」からとりあげているせりふがどうなっているかチェックしてみよう。このようなユーモア関係のところが一番変わっている可能性が高い。次の比較を見ればこまかくいじっていることが分かる。

    せりふの異同

    光文社手塚治虫漫画全集か?朝日ソノラマ講談社手塚治虫漫画全集
    (1)アトムが人並みにもられてさかさまになっていると
    「なあるほど上を下への大さわぎってわけか」
    「いよーアトム
    どうしてさかさまなんだい?」
    「なァるほど上を下へってわけか」
    「いよーアトム
    どうしてさかさまになってるのかね?」
    「なあるほど
    上を下への大騒ぎってわけかね
    ハッハ
    まあはいれ」
    (2)「沖のくらいのに子供が見える
    あれはアトムじゃ
    玉男じゃね」
    「子どもが見える
    あれはアトムと玉男じゃね」
    「よう!
    あれに見えるはアトムにタマオじゃね」
    (3)「泣く子もだまる国定忠治……
    じゃないよ……
    伴俊作
    江戸ッ子だ
    すしくいね」
    「やいっ
    みそこなうなっ
    わしァな
    名前を聞いたら泣く子もだまる国定忠治……
    じゃない……
    伴俊作
    またの名をヒゲおやじってんだ
    江戸っ子さ
    神田の生まれよ
    スシ食いねえ」
    「やいっ
    みそこなうなっ
    わしァな
    名前を聞いたら泣く子もだまる国定忠治……
    じゃない
    伴俊作
    またの名をヒゲオヤジってんだ
    江戸っ子さ
    神田の生まれよ
    スシ食いねえ」


    池田(2002)では「ミドロが沼の巻」の結末部分について「少年」連載時版、光文社漫画コミクス版、朝日ソノラマ版との異同を比較している。
    人工太陽の巻
    下のせりふは最初講談社版がつながらないとおもったら,池田氏のコメントを読んであれそこまでいってたのと了解した。手塚治虫怖い人ですね。
    朝日ソノラマ
    サンコミックス
    鉄腕アトム5 p192
    講談社手塚治虫漫画全集
    鉄腕アトム7 p90
    備考
    金三角「ジャングルへにげこんだ ニンゲンを狩り出せ
    つれてきたら コカ・コーラを百本と中国製万年筆を十本やる」
    現地人「ウレッシー!!」
    現地人その他「ア〜ラ
    エッサッサア」
    金三角「ジャングルへ逃げこんだ
    人間をしとめてこい」
    現地人「ウレッシィ!」
    現地人その他「ニール
    セーダーカー!!」


    このほか設定の変更等もよくあることだ。光文社『鉄腕アトム ORIGINAL』のものは大きく変更している話がいろいろある。比較してみよう。例えば、沖(1996)で指摘されている『アトム赤道をゆく』は少女のおじいさんがヒゲオヤジの弟から赤の他人に設定が変えられている。さらには、手塚るみ子(1997)が指摘するようになぜか最後に哀愁シーン(うなだれるところ)を付け加えている。

    「ジャングル大帝」については小倉(1989)が詳細に検討している。(中路, 1989)。野口(1999)がいろいろなマンガの雑誌からコミックスへの変更の具体例を示している。

    手塚治虫の改変は必ずしもベストに向かって改変するというよりも,そのときどきの時流や発表の対象の変化に合わせるという側面のほうが強い。一つは漢字にするかしないかの選択。もうひとつの証拠としてはつながりが悪くなる改変もしている。

    鉄腕アトムの1回目はアトムのおとうさん,お母さんが作られる。単行本では「気体人間」と併せて「気体人間」となっている。ここは朝日ソノラマサンコミックス版(15巻)では大幅に変更されているが,講談社手塚治虫漫画全集(鉄腕アトム1)では『少年』の版に戻されている。

    『少年』
    講談社手塚治虫漫画全集
    朝日ソノラマ
    サンコミックス
    備考
    (1)悪ガキ特徴のない悪ガキ四部垣を粗野にしたガキ大将風悪ガキ
    (2)成績簿を燃やす学校の焼却炉らしいところ道路の下の燃えさかっているところ『少年』版のほうがわかりやすい
    (3)アトムの成績がいいのは記述なし電子頭脳だからと悪ガキの推論
    人間の3倍努力していると玉男発言
    『少年』版のほうはいじめる理由がはっきりしている
    (4)アトムが両親を想像記述なし1頁以上の記述あり朝日ソノラマ版はロボットなのに過度に記述しすぎている
    (5)母親の顔の選択「これがよい
    なくなった
    わしのおくさんにそっくりじゃ
    だいいち
    ひんがある」
    記述なし
    (6)父親「先生
    私たちは
    親の資格がないんでしょうか」
    ヒゲおやじ「ふーん
    よく考えてみると
    きみたちは
    まだ人間らしく
    ないからだ」
    父親「どうしたら
    いいでしょう
    教えてください」
    ヒゲおやじ「うん
    いいくことがある
    きみたち
    わしの学校で
    みっちり
    人間の勉強をしたらいいよ」
    父親「こっちは
    まだできたてだからなあ
    私たち
    親の資格がないんでしょうか」
    ヒゲおやじ「フーン
    思うに
    君たちは
    まだ人間らしい
    愛情がないのだ
    そうだ
    ロボット学校でみっちり
    人間の勉強
    すればいいよ」
    アトムと同じ小学校にいくか,ロボット学校にいくかは後に父親が四部垣にいじめられる場面と関連する。『少年』版のほうがよい
    (7)最後のオチ新入生のなかに両親がならんでいるのをアトムが見るアトム「……というわけでね
    おとうさんとおかわさんはことしやっと小学校の一年なんです
    ウフ……
    おかしい話でしょう」
    両親のランドセルを背負った図がつく
    ギャグとしては『少年』のほうがよい


    ブラックルックス
    ブラックルックスの最初と最後のせりふは同じだが、「少年」版の順序は少し違う。
    イントロ部分を比較してみよう。

    「少年」 p22-24
    1957
    光文社カッパ・コミックス p13
    1964
    朝日ソノラマサンコミックス p63
    1976初版
    講談社全集 p161
    1980, 1989 第5刷
    五年まえロンドンの世界ロボット銀行をおそったし…… 五年まえロンドンの世界ロボット銀行をしゅうげきし…… 五年まえロンドンの世界ロボット銀行を襲撃し…… 五年前ロンドンの世界ロボット銀行を襲撃し……
    三年まえシカゴのロボット石油会社を灰にしたし…… 三年まえシカゴのロボット石油会社を灰にさせ…… 三年まえシカゴのロボット石油会社を灰にさせ… 三年前シカゴのロボット石油会社を灰にさせ…
    二年まえは南アフリカのロボット開拓団の基地をめちゃめちゃにした… 二年まえは南アフリカのロボット開拓団基地をメチャメチャにしたし─ 二年まえは南アフリカのロボット開拓団基地をメチャメチャにしたし… 二年前は南アフリカのロボット開拓団基地をメチャメチャにしたし
    団員はみんな黒いマスクをしていてだれだか正体はさっぱりわからんが 団員はみんな黒マスクをしていて正体がわからない 団員はみんな黒マスクをしていて正体がわからない 団員はみんな黒マスクをしていて正体がわからない
    いちみは 世界じゅうに ばらまかれていて その本部はアフリカにあるらしいが 国際警察が ひっしになって さがしているのに さっぱりてがかりがつかめん
    イタイッ イタタイ(ほかは図版差し替え)
    たいていのロボットはなおしようなく こわされているんで……
    しょうこがあつまりません
    国際じけんだ
    世界中の警察力を動員して調べているのですが… その正体は
    まったくナゾに包まれている
    今月はわがメキシコがやられた
    たいていのロボットはなおしようなく こわされているんで……
    証拠が集まりません
    国際事件だ
    たいていのロボットは めちゃめちゃにこわされてしまうから しょうこがすこしもあつまらんのです
    だがね中村君 このロボットは どうやらなおったぜ なるほど中村くん このロボットはその悪党の被害者か? なるほどな すると中村くん このロボットはその悪党の被害者か?
    それじゃこれはブラック・ルックスにやられた被害者じゃね そうか ブラック・ルックスのひみつをこいつがにぎっているというのかい そうか …とするとこいつはそのナゾをにぎっているのかもしれんぞ そうか …とするとこいつはそのナゾをにぎってるのかもしれんな
    そうです! そのロボットのしゃべるオーロラ……ということばをしんじよう…… そうです きっとだれかがなおしてもらうために 日本へおくったんですよ そうです きっとだれかがなおしてもらうために 日本へおくったんですよ そうです きっとだれかがなおしてもらうために 日本へ送ったんですよ
    調査室へ……オーロラということばをしらべよっ オーロラということばを調査室でしらべましょう オーロラという言葉を調査室でしらべましょう オーロラということばを調査室で調べましょう

    少年と光文社コミックスはヨミガナが振ってある。講談社全集がもっとも漢字を多く使用している。その次が朝日ソノラマサンコミックスである。少年がもっとも口語調であり、論理も素直でわかりやすい。

    変更についてまとめると、
    (1)ギャグ場面は変更されやすい。
    (2)設定が変えられることがある。
    (3)感情を強調する変更がなされることがある。
    (4)かならずしも一貫性を保つようにはされていない。
    (手塚治虫は矛盾点を指摘されると、「それはマンガだからというのではダメですか」というコメントをしている。きちんとした一貫性をもたせるにはそれほど価値をおいていないようである。)
    (5)ベストの方向への改変とはいえない。


    パラレルワールドとしての『鉄腕アトム』

    いろいろな版の『鉄腕アトム』があり,ついにはまったく手塚治虫先生がタッチしないものまで出てくることになりました。御大存命のころから,紙版,テレビ版にもいくつかバージョンがあり,それぞれがつながりつつ切れています。これって,パラレルワールドの実現ではないでしょうか。パラレルワールドの手塚作品はとすぐに思い出さなければいけないのだけど,それもあったよとしか言えない悔しさ。あの不思議感が『鉄腕アトム』をみるとでてきます。そしてどれもがそうでないような。まるで,小さいときから関西風うどんに食べなれているが,関東のうどんもだいぶ食べた。そんなとき関西うどんを食べたときのそうだという感じと,違うという感じ。まあ,讃岐うどんのほうがなじんでしまいましたが。そんな感じが残ります。

    パラレルワールドだからしかたないよね。どれがベストというわけでない。世界によって進行が違ってくる。

    ところで,アトムの誕生日ということは『アトム今昔物語』によるとアトムのなくなった日でもあります。こっちのほうのイベントはあるのでしょうか。『アトム今昔物語』のオリジナルが発行されるというのがそれにあたるのでしょうか。

    手塚先生はこの日に自分を生きていると想定していたのかどうか。どちらでしょう。

    でも,手塚先生がもう一つ仕掛けていたこと。みなさん気づきましたか。あの当時鉄腕アトムを読んだ人はみんな「お茶の水博士」よりも年寄りだ。これでタイムパラドックスを実感できるようにしていた。

    私はアトム連載から数年たってから愛読し始めたものです。それでも,数年前からわたしもお茶の水博士より年寄りだとは気づいていましたが,アトム誕生の年となって,実感としてショックを受けています。「お茶の水博士よりも年寄りなんだ」:

    『鉄腕アトム』と「データベース消費」

    東浩紀『動物化するポストモダン』講談社現代新書, 2001 を読んでいると,「データベース消費」という概念がでてきます.男のオタクの行動を解読するキー概念になってます.コミケやTVゲームなどに見られる行動から考えたそうです.

    今までは「物語消費」として大きな物語がそれぞれの具体的(小さな)物語にあると考えられていたがいまはそう考えない.ただ,キャラや筋などの設定の集積=データベース=大きな非物語があってそのデータベースから任意のものを取り出して新しい(小さい)物語をつくる.その典型がコミケになる.ゲームなども適当にシーンを抜き出してつないだり合成したりして新たな物語をつくる.
     正しい理解は本のほうを見てください.

    それで,『鉄腕アトム』を考えると大きな物語てはないですね.手塚先生自身は「差別」を扱うなどいくつかのコメントをしてます.アトム自身が成長しない.「キャラ萌え」というのは手塚先生得意の手法だし.それぞれの物語は独立している.「シャーロック・ホームズ」なんかだとバラバラな話のようだけど,ワトソン博士の推理力が成長している.最初のテレビの『鉄腕アトム』も他で使ったシーンをそのまま使ったり,合成のもとにしたりしている.これはデータベース消費そのものである.

    というように考えると『鉄腕アトム』は極めて現代的な作風ということになるだろう.手塚先生自身がいろいろ別バージョン『鉄腕アトム』を書いちゃってるし.ご本人は「データベース消費」ではないだろうか.

    もちろん,テレビの『ASTROBOY 鉄腕アトム』は「データベース消費」である.いろんなところの筋やキャラクタを引き出して使っている.もっとも,このシリーズ自体としては大きな物語があるように作っている.
    http://astroboy.jp/c/009/chara/index.html
    は関係を明確にしている.

    手塚治虫自身のコメント

    手塚治虫自身の「鉄腕アトム」へのコメントは朝日ソノラマのサンコミックス版にもっとも詳細にしている。その中には,鉄腕アトムを書くきっかけなどもある。

     作品を書くきっかけは,「アトム大使」を書いた後,その中の登場人物アトムを主人公にして書いてはどうかと編集者から言われたことだ。予告のタイトルは「鉄人アトム」であった(「少年」傑作選第1巻に図がある。)。

    倉田わたる氏の手塚治虫コメント紹介と倉田氏のコメント

    鉄腕アトム:アトム誕生 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0034.html
    鉄腕アトム:「ホット・ドッグ兵団」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0035.html
    鉄腕アトム:「植物人間」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0036.html
    鉄腕アトム:「デッドクロス殿下」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0037.html
    鉄腕アトム:「第三の魔術師」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0038.html
    鉄腕アトム:「地上最大のロボット」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0039.html
    鉄腕アトム:「ロボットランド」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0040.html
    鉄腕アトム:「イワンのばか」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0041.html
    鉄腕アトム:「十字架島」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0042.html
    鉄腕アトム:「宇宙ヒョウ」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0043.html
    鉄腕アトム:「人工太陽球」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0044.html
    鉄腕アトム:「アトム今昔物語」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0045.html
    鉄腕アトム:「エジプト陰謀団の秘密」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0046.html
    鉄腕アトム:「透明巨人」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0047.html
    鉄腕アトム:「コバルト」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0048.html
    鉄腕アトム:「アトム対ガロン」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0049.html
    鉄腕アトム:「黄色い馬」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0050.html
    鉄腕アトム:「アルプスの決闘」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0051.html
    鉄腕アトム:「ウランちゃん」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0053.html
    鉄腕アトム:「電光人間」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0055.html
    鉄腕アトム:「アトム大使」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0056.html
    鉄腕アトム:「気体人間」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0057.html
    鉄腕アトム:「赤いネコ」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0058.html
    鉄腕アトム:「ミドロが沼」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0059.html
    鉄腕アトム:「冷凍人間」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0060.html
    鉄腕アトム:「ZZZ総統」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0061.html
    鉄腕アトム:「人面岩」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0062.html
    鉄腕アトム:「コウモリ伯爵」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0063.html
    鉄腕アトム:「青騎士」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0064.html
    鉄腕アトム:「ロボット爆弾/フランケンシュタイン/海蛇島/火星探検/サンゴ礁の冒険/テストパイロット」解題 http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/else0066.html
    その他たくさん

    「鉄腕アトム」のテーマ

    鉄腕アトムのテーマはいろいろある。その中でも真正面から取り上げられているものについて論じられることがすくない。「悪」「攻撃」「暴力」の問題だ。カラー版アニメを見ていてもこの問題を正面から考えていることがわかる。フランケンシュタインはなぜ悪を犯すのか。アトラスのオメガ因子。さらにはなぜ人はロボッティングを好むのか。スカンク草井の小悪党ぶりはどこにあるのか。

    電光人間の巻(手塚治虫漫画全集鉄腕アトム2 p168-169)
    お茶の水博士「アトム…たしかにあいつは天馬博士の残した完全な芸術品じゃった」
    スカンク草井「アトムは完全ではないぜ なぜならわるい心をもたねえからだよ
    スカンク「完全な芸術品といえるロボットなら人間とおなじ心をもつはずだ へへへへへへ」
    博士「そりゃあ ちがう よいことをさせるだけのためにロボットはもともとつくられたんでしょう」
    スカンク「へへ へへ へへへへ」「だから完全じゃないだろう」
    博士「じゃあ あなたはわるいロボットがあってもよいとおっしゃるのか」
    スカンク「そうさね!」「へへ へへ へへへへ」「完全なものはわるいものですぜ」「水爆をみたまえ…… あれは原子力の完成芸術だが 人を殺すほか役にたたないぜ」
    博士「いや…ロボットだけはべつじゃ!」
    スカンク「まあ いずれわかるときがくるさ へへへ」

    アトラスの巻(手塚治虫漫画全集鉄腕アトム3 p152-153)
    お茶の水博士「おぼえているかね 電光人間事件のときスカンクという男が予言したことを 『よい心も悪い心も持ってこそ完全なロボットだ』……とね」「ラム博士はその悪い心の因子を発明したらしい」「その点ではアトラスはアトムより進化している」
    ケン一「悪いロボットが高等なんですか!」
    博士「それだけ人間に近いからね」
    アトム 唖然とする
    ケン一「アトム悲観するな」
    アトム「ね ぼくは下等なロボットなんだろうか」
    ケン一「バカ」「いくら高等だろうが悪いやつは悪いんだ」

    スカンク草井はこの「アトムは完全ではないぜ なぜならわるい心をもたねえからだよ」という発言によって,1980年のアニメカラー版では,悪役のトップスターとなったといってよい。しかし,オメガ因子を組み込んだアトラスをどう活用するのかという点についてスタッフの了解ができていなかったためかたいしたことをせずにいいロボットとして地球に貢献するためその存在を捧げる。巨悪とは構想力であり,それを具体化する力であろう。世界支配とは何か,自分のどの欲望を肥大化させるのか。支配とは土地を占有することか人心を強制的にも掴んでしまうことか。それが反社会的でなければ悪にはならない。アトラスの場合,非社会的といえるのではないか。

    なお、お茶の水博士はよい心だけでなく悪い心の存在意義を認めている点ではポストモダン的であるが、完全を求めている点ではまだモダンの束縛下にある。

    もっと低レベルについて考えてみると,「うそをつく」という問題がある。これは行為としていけないこととされる。他律的にもいけないことである。「うそつきロボット」(講談社手塚治虫全集鉄腕アトム12)ではロボットはウソをつけないのでわざわざウソをつくロボットを作っている。ロボットの道徳律が決定的に他律型であり,かつ行為に基づいて判断することになっている。これでは高度の判断は無理である。アトムはいろんな場所でウソをついたりしらばっくれたりしている。「海蛇島」(講談社手塚治虫全集鉄腕アトム2)を見て欲しい。ロボット法を黙って犯すし,親や原住民に知っていることを故意に隠している。行為や他律的に見た場合とてもよくないことをしている。ただし,小学生にはこのレベルのことから問題を考えさせる必要がある。

    手塚治虫には,暴力がなくなるなどという甘い考えもないようだ。そして,教育の問題についても踏み込んでいる。戦争経験者の苦い味があちこちにある。なぜあんなに簡単に殺してしまうの。正義の味方であっても簡単に死ぬ。そのあたりに論考を加えたいのだが,今そのことをゆっくり考えられない。

    知性暴力または破壊
    幽霊製造機」(講談社手塚治虫全集 鉄腕アトム4 p110)
    お茶の水博士「なかなかすごいロボットだがどうも気にくわんよ。もっと知的なのはおらんのかな?」
    長官「ロボットはもともと暴力的なものなのです。それ以外は無用ですな。」


    手塚治虫が悪を犯すメカニズムとしてどのようなものを考えているかというと以下の4つが代表であろう。
    (1)知的<−>未熟
     「フランケンシュタイン」に見られるように未完成の状態だ。人間で言えば子どもともいえる。このとき付随的に,作成者は責任のもてる人間でなければならないと考えている。ロボットが作成者ではだめである。さらに最初にであった人間が正しく命令を与える。さらには人間社会になれるために学校にいく。これは講談社手塚治虫全集版の「気体人間」参照。

    (2)知的<−>愚鈍
     上のお茶の水博士と長官の会話に見られる対立がある。「幽霊製造機」は私にとって一番悲しい話であった。その国最高レベルで世界に誇れる知的ロボット プラチナが愚鈍なロボット グロテスク1号にいとも簡単に壊されてしまう。極度に知的でないロボットは機械ロボットと呼ばれることもある。グロテスク1号はかなり判断しているので、機械ロボットよりも高水準であろう。

    (3)知的<−>頭がいい・狂気
     これはお茶の水博士と天馬博士の対立といってよい。そのほかオメガ因子をつけたロボットは意識的に悪を実践する。

    (4)暴力への志向
     ロボッティングに見られるように,人間はもともと破壊を好む傾向がある。「地上最大のロボット」などに見られる。人間がもっている傾向をロボットにミッションとして与えてしまう。


    手塚治虫の創作技法としての記号論的対立

     手塚治虫は多産である。多産の理由はいくつかあるのだろうけど,鉄腕アトムのように突然現れる外敵と戦うというスタイルをとっている場合,記号的に生産していたのではないかと考えられる。つまり,鉄腕アトムを起点として,ロボット,子供,日本,地球と対立するところにい敵を見いだすのである。実際には日本との対立はあまり考慮しなかったようである。もちろん,映画や小説,漫画を直接ヒントにしているものもある。意識的に種にしたものは朝日ソノラマサンコミックス版に手塚治虫のコメントがある(倉田わたる氏の解題も参照)。

    以下に簡単な対立のリストをあげる。

    子ども<−>大人  成長がテーマになる。しかし,おとなになりたくないという表明もある。
    ロボット<−>人間 よくあらわれてくるテーマであり「差別」の問題である;。また,人間の得意なものとロボットの得意なもの
    善人<−>悪人 悪人を見分けることができるアトムにとってもっとも興味のあるテーマ。絶対的悪人はいるの?
    人間<−>自然 自然を破壊するという問題が早くから意識されている
    陸<−>海中 これは海中からでてくるだけで,深まりはない
    陸<−>地底 これも特に深めていない。しかし,『ゼロマン』など手塚治虫にとって重要な対抗勢力の居住地となる
    地球<−>宇宙 問答無用の侵略,知性の2つのタイプがある。

    新科学技術 タイムマシン,クローン作成機,など多くは悪用される。


    この中でも地球と宇宙の対立を考えると主として2つのタイプがある。1つは問答無用の侵略であり,もう一つが宇宙人の知的な対応であり,話し合い可能な場合である。問答無用の侵略に対しては,化学,物理学,生物学などの科学知識を使ってアトムが撃退する。話し合い可能な場合は宇宙人が立ち去っている。唯一地球に残ったのは「植物人間」であるが,これも問答無用部隊を撃退している。

    地球<−>宇宙 (問答無用の侵略)
    化学,物理学,生物学を使って相手を破壊
     気体人間,コウモリ伯爵(原題:ミイラ伯爵),宇宙ヒョウ,植物人間,アトム対ガロンなど

    地球<−>宇宙 (話し合い可能,立ち去る)
     天馬族の砦,ゾロモンの宝石,ミーバ(宇宙人ではなく,4次元人間)

    手塚治虫の創造の技法

    手塚治虫はマンガの創作法について意識をしていた。マンガの書き方の本が何冊かある。手塚治虫漫画全集別館17(MT399) 手塚治虫のマンガの描き方(1997)(もとは1977年刊行)もそのひとつ。「案を考える」という章において2つの方法を挙げている。「演繹法」「帰納法」の2つである。
    演繹法 これが→こうなり→こうなった。(ニンニクのうんと入ったソバが→ひっくりかえる→下の猫にかかる→どうなる→どうなる→)というように出だし(イメージの浮かんだところ)からどんどん進めていくということ。
    帰納法 これがこうなっている→そのわけはこうだ。(なぜネコがニンニクくさいのか→こういうわけだ→こういうわけだ)
    )というように結果から原因をたどっていく。
     通常の演繹、機能とは違う使い方をしているのに注意。具体的には142頁の無人島の展開のさせかたにある。また、台本の作り方において、テーマを考える、プロットをつくる、ストーリーづくり、キャラクター、考証について説明している。それらの具体化を段階的に示していている。本来ならテーマからおろしていく方法が演繹法となるだろう。
     
     しかし、これで書くのはかなり困難だろう。やはり,創造性のなかの「流暢性」がありどんどんストーリーがでてこないと創作力のある漫画家にはなれないだろう。行き詰まったときに意図的にこのような手法を使うことになる。
     手塚は「お話好きになる」というのを一番に挙げているが、実際のところこういうことが一番にあるだろう。そして、何かの種から(意図する,無意識を問わず)手塚のいう演繹法、帰納法を使いつつ、いくつか島をつくり、その島を巧みにつなぎながら、テーマについて、思考を巡らせ、全体のまとまりを付けていく。そんな飛躍とつなぎを繰り返さないとマンガ的なストーリー展開になりそうもない。思い切って飛躍させてもそれをつないでしまう力量。

     話し好きだけではなく、記号論的対立に敏感であること。それがテーマや飛躍を作り出していく力になっているものと考える。  話好きというのはたくさんの物語に接することでもあるだろう。そんななかで、物語のパタンを吸収する。手塚の得意とするところである。

    ---------------------------------------
    手塚治虫が映画や小説をたくさん見たり読んだりしていることは知られている。それをどのように使っているのか。「私の選んだ海外SFベスト10」(1977, 全集397 手塚治虫エッセイ集7手塚治虫マンガ全集別巻15)というエッセーにその一端がわかる記述がある。

    海外SF影響されたポイント影響されて描いた作品
    山椒魚戦争すぐれた風刺精神ロック冒険記
    火星年代記オムニバスドラマの傑作鳥人体系
    月世界最初の人間描写のすばらしさロストワールド
    火星のオデッセイ奇想天外のギャグ荒野の七ひき
    発狂した宇宙サスペンスドラマの見本火の鳥
    盗まれた街不気味さと怖さマグマ大使
    モロー博士の島動物変身の面白さ地球大戦
    トンネル大河ドラマツルギー地底国の怪人
    輪廻の蛇タイムパラドックスの面白さキャプテンKen


    アトムの中にははっきりとほかの物語をふまえている場合もある。「ロビオとロビエット」はタイトルからしてもはっきりしている。

    ロボット法

    ロボット法の存在はあちこちで言及されているが,全体を示しているのは,「青騎士」においてである。

    ロボット法を引用する。アトムがロボット法に違反している事を示す。また,青騎士に共鳴するロボットはどうもロボット法違反であるようだ。青騎士自身もロボット法違反。というのを書く予定

    朝日ソノラマサンコミックス 鉄腕アトム19 p17-18

    原文では何条とは入れていないが便宜上入れる。

    ロボット法
    第1条 ロボットは人間につくすために生まれてきたものである
    第2条 ロボットは人を傷つけたり殺したりしてはいけない
    第3条 ロボットを作った人間を父と呼ばなくてはいけない
    第4条 ロボットは何でも作れるがお金だけは作ってはいけない
    第5条 ロボットは海外へ無断で出かけていってはならない
    第6条 男のロボット 女のロボットはたがいに入れかわってはいけない
    第7条 無断で自分の顔をかえたり別のロボットになったりしてはいけない
    第8条 おとなに作られたロボットが子どもになったりしてはいけない
    第9条 人間が分解したロボットを別のロボットが組み立ててはならない
    第10条 ロボットは人間の家や道具を壊してはならない

    講談社手塚治虫漫画全集鉄腕アトム15 p15において,第1条と第2条の文言が入れ替わっているが,図は入れ替わっていない。法律の作り方からしても第1条は設置の目的なので,朝日ソノラマのほうがいい。また,第5条はときどき第9条として言及されているものである。

     沖(1996)はロボット法の項において,「アトム誕生」「海蛇島」「幽霊製造機」「キリストの目」「青騎士」「アトム今昔物語」においてでていることを指摘している。
    【第1条】ロボットは人間を幸せにするために生まれたものである。(「アトム誕生」)

    【第2条】その目的にかなうかぎり,すべてのロボットは自由であり,自由で平等の生活を送る権利を持つ。(「アトム今昔物語」)

    【第9条】ロボット省の許可なくして無断で国をはなれて行動をとるものは,エネルギー無期限差し止めまたは解体の刑に処する。(「海蛇島」「青騎士」)

    【第13条】ロボットは人をきずつけたり,殺したりできない。(「アトム誕生」「青騎士」)

    その他何条か不明のもの,「ロボットは人間を信ずべし。(「キリストの目」)以外は「青騎士」


    ロボット工学の3原則 (A.アシモフ『われはロボット』)
    第1条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。

    第2条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第1条に反する場合は、この限りでない。

    第3条 ロボットは、前掲第1条および第2条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。

             ――ロボット工学ハンドブック、
                第56版、西暦2058年



    原則と法律をそのまま対比するのはいけないが、ロボット3原則はシンプルにできている。手塚治虫はロボット法のほうが先であるといっているが、これは本当かな。ま、どちらでもいい。

    アトムの両親はロボット法第1条とは別次元の存在といえる。それ故、青騎士型ロボットであってもおかしくない。実際、作成時にこんなロボット初めてだよといわれてしまっている。また、第3条との関係はどうなるのだろうか?

    青騎士は第6条〜第8条に違反している。改造されたときからロボット法違反だ。これではロボット法に反抗していくしかない。

    第10条「ロボットは人間の家や道具を壊してはならない」もかなりきついものだ。「ロボットはみだりに人間の家や道具を壊してはならない」とか,限定子がつくものではないか。アトムのやっているピストルを取り上げ丸めてしまうもロボット法違反行為である。

    海外渡航禁止に関しては,アトムは頻繁に違反しているし,「地上最大のロボット」では自由に破っている。日本人の海外渡航が難しかった時代に想定されたものだが、この条を維持するのは難しい。


    ロボット法がなんのためにあるのか
    ロボット人権宣言とのからみでできたとあるが,実際のロボット法はロボットのアイデンティティを形成するために必要なものとしてあるようだ。

    (1)『鉄腕アトム』のロボット法ではなぜ,「 第3条 ロボットを作った人間を父と呼ばなくてはいけない」となっているのか。『メトロポリス』で人造人間が自分の親が知りたくて暴れちゃいますね。あーいうことが起こらないようにしている。

    (2)同じくロボット法では、「第6条 男のロボット 女のロボットはたがいに入れかわってはいけない」というのがあります。『メトロポリス』では人造人間がスイッチで男女入れ替わることになってます。これもアイデンティティをなくしてしまうというのでしょうね。同一性障害の深刻なバージョンですね。

    ロボット(人でも)がアイデンティティを探すとき親にルーツを求めるということでしょうか。BSマンガ夜話でも自己を探求するとかなんとかいってましたね。


    手塚治虫は超一流

    手塚治虫がいろんな面で一流であることは間違いない。超一流部分はどこであろう。手塚治虫の読者としては,そのいろんな物語を生み出すその能力であろう。さらにはいろんなバリエーションをも作り出してしまう。それが,いろんな依頼を引き受け,またどんどん改作することになってしまうのであろう。きっと物語を作っているとき一つではなく,複数の様々な枝分かれの物語が作られてしまうのであろう。知能でいえば流暢性の部分だ。創造力のある人は多産であるというのを地でいっている。

    多産であることは講談社手塚治虫全集全400巻を見てもわかるが、つぎの池田(2002, p254)のインタビューの中で松谷孝征氏(手塚治虫プロダクション社長)がマネージャーとして答えていることからも忍ばれる。

    −え?抜け駆けとかは,なかったんですか!?
    松谷 マンがの世界を知らない人はありましたよ。パーティーで手塚に直接話したり。だkで連載を持っている出版社は皆無。打診すれば絶対OKになる。アイデアならいくらでもでるし手塚はやりたくて仕方がないから。しかしそれは結局,出版社が自分の首を締める羽目になるのは明らか。すでに仕事量が限界を超えているのだもの。
     それでも本人はまだ出来ると思ってしまう人なんですね。

    そして,もう一つの超一流のちからは,アイデアを具体化するところにある。編集者が手塚治虫とアイデアを話し合っても,なお作品ができるのが楽しみであるというところにまずあらわれている。「火の鳥」において,植物と動物が入れ替わった星というのがあったが,アイデアとしてはあるだろうがそれを具体化するとき手塚治虫の力があらわれている。手塚治虫の作品をよめばその能力の高さを感じざるを得ないだろう。例えば次のコメントにはそのことが分かる。

    ナマズ 志波さんが担当者として見た、手塚治虫先生の魅力ってなんでしょう?
    志波 それは、やっぱり、作品の持っている力であり、それを生み出す能力だね。(中略)、その作品、それを生み出す能力とかがね、もう圧倒的に神様なの。とんでもない神様なの。ナマズ それって、つまり、そばにいることで初めて見えることなんですか?
    志波 初めて見えること。例えば『きりひと賛歌』。連載第1回目のね、打ち合わせを散々しているにもかかわらず、原稿を手渡された時の興奮っていうのはね、耐え難いほどのものでね。
    ナマズ 神の御技を最初に目にする恩恵に浴する訳ですからね。
    −神様の伴走者手塚番第1回神様を殴った男 志波秀宇(ビッグコミックSPECIAL 2002.5.22 増刊号 101-104)

    最後のナマズ氏の表現は弱いものがある。さんざん話し合ってわかっているはずのものでも具現化されたとき、思っている以上のものが立ち現れる。ま、それを神の御技といっているのだが、神の御技であるとはっきりわかるのは何もしらない人ではないのだ。

    手塚治虫の多くの贈り物に感謝!!



    引用文献

    池田啓晶 2002 手塚治虫 THE KING O.T. 完全解体新書 集英社

    沖光正 1996 鉄腕アトム大事典 晶文社 (2003 光文社知恵の森文庫 )

    本稿を書き始めてから手に入れたのであるが,かなりの問題を解決してますね。人名辞典,事項事典を中心とするが,『鉄腕アトム』年代記1953-2055 がすばらしい。この本はシャーロック・ホームズにおいてなされている研究と同じような水準の研究が鉄腕アトムにもあることを示す。この本を読むと講談社愛蔵版鉄腕アトムも必要と思わせる。
     この事典のなかに「ロボット人権宣言」がないのは残念。アトム百万馬力改造は2回あっったようなのだが,コミック版のみに起こっていることなのだろうか?

    小倉多恵子 1989 『ジャングル大帝』改訂考 竹内オサム・村上知彦(編)マンガ批評体系別巻手塚治虫の宇宙 平凡社(original 児童漫画研究2号 1981)

    神様の伴走者手塚番第1回神様を殴った男 志波秀宇(ビッグコミックSPECIAL 2002.5.22 増刊号 101-104

    倉田わたる “手塚治虫漫画全集”解説総目録 第6z版 2002/04/10http://www.rinc.or.jp/~kurata/t-osamu/t-osamu.html#index

    こにしあきら 手塚治虫 ml 
    http://www.osamushi.info/

    K.Kotani 鉄腕アトムの謎
    http://plaza.harmonix.ne.jp/~kotani/atom.html

    佐藤和美 手塚治虫ショート・ショート
    http://www.asahi-net.or.jp/~hi5k-stu/tezuka/t_shrtmn.htm

    中路秀雄 1989 鉄腕アトムあれこれ 竹内オサム・村上知彦(編)マンガ批評体系別巻手塚治虫の宇宙 平凡社(original 手塚治虫ファンクラブ・京都 会誌『ヒョウタンツギタイムス』20,21合併号 1980)

    野口文雄 1999 手塚治虫の奇妙な資料 手塚治虫『人間ども集まれ!完全版』実業之日本社 643-653
    野口文雄 2002 『手塚治虫の奇妙な資料』実業之日本社
     単行本のほうでは鉄腕アトムに1章使っている。「マッドマシーン」のフーラー博士のキャラクターが変わっていることを指摘。

    藤川治水 1989 鉄腕アトム論 竹内オサム・村上知彦(編)マンガ批評体系別巻手塚治虫の宇宙 平凡社(original 『思想の科学』1963年10月号)




    資料 アトムサブタイトル,講談社手塚治虫漫画全集,朝日ソノラマサンコミック 光文社文庫掲載巻

    講談社手塚治虫漫画全集と朝日ソノラマ版をリンクするのに手間がかかるので,リンクするexcel ファイルを作った。倉田わたる氏の資料を底本にしている。excel ファイルなので並べ替えや検索も簡単である。他の資料との異同を調べる場合の参考にして欲しい。  excel file

    その他のコミックを含む詳しい対照表が沖(1996)にあることがわかった。サブタイトルの全リストは沖(1996)にある。それによると、全112、+2である。なお,沖の対照表のうち,「地上最大のロボット」のSC版に*をつける必要がある。SC版では鎮魂歌は最初にあり,それに続いて手塚治虫の前付けがついている。

    なお,excel ファイルには光文社文庫,および鉄腕アトム ORIGINAL 収録したサブタイトルもわかるようにしている。

    * のリンク先は倉田わたる氏のサイト
    サブタイトル
    (リンク先は「手塚治虫のすべて」)
    原題講談社手塚治虫漫画全集MT頁数朝日ソノラマサンコミックス光文社文庫掲載紙掲載月
    アトム大使 *講談社MT 221 鉄腕アトム 1 81p151少年'51/04-52/03
    気体人間 *講談社MT 221 鉄腕アトム 1 36p151少年'52/04-52/10
    フランケンシュタイン *講談社MT 221 鉄腕アトム 1 46p211少年'52/11-53/04
    赤いネコ *講談社MT 221 鉄腕アトム 1 45p161少年'53/05-53/11
    海蛇島 *アトム赤道をゆく講談社MT 222 鉄腕アトム 2 30p211少年'53/08
    火星探検 *空とぶ摩天楼、火星隊長講談社MT 222 鉄腕アトム 2 44p211少年'53/12-54/05
    コバルト *講談社MT 222 鉄腕アトム 2 26p91少年'54/06-54/09
    人工衛星SOS小惑星SOS講談社MT 222 鉄腕アトム 2 10p185少年'59/08/15 夏休み大増刊号
    ZZZ総統 *講談社MT 222 鉄腕アトム 2 47p172少年'54/09-54/12
    電光人間 *講談社MT 222 鉄腕アトム 2 44p152少年'55/01
    ゲルニカ講談社MT 223 鉄腕アトム 3 9p142少年'55/01/15 お正月大増刊号
    若返りガス生きている隕石講談社MT 223 鉄腕アトム 3 40p122少年'55/02-55/09
    冷凍人間 *なぞの冷凍人講談社MT 223 鉄腕アトム 3 31p172少年'55/07
    黄色い馬 *人工衛星W47講談社MT 223 鉄腕アトム 3 22p102少年'55/10-56/02
    アルプスの決闘 *講談社MT 223 鉄腕アトム 3 32p132少年'56/01
    アトラス講談社MT 223 鉄腕アトム 3 30p182少年'56/03-56/07
    テストパイロット *講談社MT 223 鉄腕アトム 3 14p212少年'56/09
    ミドロが沼 *美土路沼事件講談社MT 223 鉄腕アトム 3 28p162少年'56/08-56/11
    ロボット爆弾 *□□□□からきた男講談社MT 224 鉄腕アトム 4 57p213少年'56/12-57/08
    幽霊製造機講談社MT 224 鉄腕アトム 4 86p43少年'57/01
    ブラック・ルックス講談社MT 224 鉄腕アトム 4 62p153少年'57/09
    ふしぎなボール浮遊生物エロス族講談社MT 224 鉄腕アトム 4 20p183少年'57/10-57/12
    スーパー旋風 *講談社MT 225 鉄腕アトム 5 13p213少年'57/12
    十字架島 *十字架大陸講談社MT 225 鉄腕アトム 5 86p53少年'58/01-58/04
    天馬族の砦講談社MT 225 鉄腕アトム 5 52p144少年'58/05-58/07
    マッド・マシーン講談社MT 225 鉄腕アトム 5 20p34少年'58/08,58/09
    コウモリ伯爵 *ミイラ伯爵講談社MT 225 鉄腕アトム 5 56p184少年'58/09-59/01
    キリストの目七つの影法師講談社MT 226 鉄腕アトム 6 27p124少年'59/01
    イワンのばか *月のうらの秘密講談社MT 226 鉄腕アトム 6 45p44少年'59/02,59/03
    エジプト陰謀団の秘密 *講談社MT 226 鉄腕アトム 6 101p94少年'59/04-59/08
    ガデム講談社MT 226 鉄腕アトム 6 40p175少年'59/08,59/09
    地底戦車鬼火仮面講談社MT 227 鉄腕アトム 7 42p115少年'59/10,59/11
    人工太陽球 *火の壺島講談社MT 227 鉄腕アトム 7 61p55少年'59/12-60/02
    宇宙ヒョウ *宇宙豹講談社MT 227 鉄腕アトム 7 53p55少年'60/02-60/04
    透明巨人 *講談社MT 227 鉄腕アトム 7 76p95少年'60/05-60/07
    ロボット流し講談社MT 228 鉄腕アトム 8 15p45少年'60/08/15 夏休み大増刊号
    ウランちゃん *1/2人間講談社MT 228 鉄腕アトム 8 46p146少年'60/08,60/09
    デッドクロス殿下 *講談社MT 228 鉄腕アトム 8 93p26少年'60/09-60/12
    白熱人間講談社MT 228 鉄腕アトム 8 62p147少年'61/01-61/03
    植物人間 *アルソア12星人講談社MT 229 鉄腕アトム 9 15p17少年'61/01/15 お正月大増刊号
    ホットドッグ兵団 *講談社MT 229 鉄腕アトム 9 170p16少年'61/03-61/10
    溶鉱炉の怪人講談社MT 229 鉄腕アトム 9 12p117少年'61/08/15 夏休み大増刊号
    第三の魔術師 *三人の魔術師講談社MT 230 鉄腕アトム 10 86p27少年'61/10-62/01
    宇宙の寄生虫講談社MT 230 鉄腕アトム 10 65p177少年'62/01-62/04
    ロボットランド *ロボットランドの怪人講談社MT 230 鉄腕アトム 10 54p47少年'62/05,-62/09
    アトム対ガロン *アトム対魔神講談社MT 231 鉄腕アトム 11 50p108少年'62/10-63/02
    白い惑星くろい惑星講談社MT 231 鉄腕アトム 11 17p28少年'63/01/15 お正月大増刊号
    悪魔のハチダーマの宮殿講談社MT 231 鉄腕アトム 11 43p148少年'63/03-63/06
    ロボット宇宙艇講談社MT 231 鉄腕アトム 11 85p188少年'63/07-63/12
    悪魔の風船講談社MT 232 鉄腕アトム 12 47p168少年'63/12-64/02
    地球最後の日講談社MT 232 鉄腕アトム 12 88p118少年'64/03-64/06
    悪役たちのロボット講談社MT 232 鉄腕アトム 12 5p9鉄腕アトムクラブ'64/08
    うそつきロボット講談社MT 232 鉄腕アトム 12 10p139鉄腕アトムクラブ'64/09
    すりかえ頭脳講談社MT 232 鉄腕アトム 12 8p9鉄腕アトムクラブ'64/10
    タイムマシーン講談社MT 232 鉄腕アトム 12 6p9鉄腕アトムクラブ'64/11
    盗まれたアトム講談社MT 232 鉄腕アトム 12 41p1010鉄腕アトムクラブ'65/06-65/09
    地上最大のロボット *史上最大のロボット講談社MT 233 鉄腕アトム 13 178p39少年'64/06-65/01
    ロボイド講談社MT 234 鉄腕アトム 14 123p129少年'65/01-65/05
    ロビオとロビエット講談社MT 234 鉄腕アトム 14 86p1610少年'65/05-65/09
    青騎士 *講談社MT 235 鉄腕アトム 15 157p1910少年'65/10-66/03
    アトム復活講談社MT 235 鉄腕アトム 15 37p1911少年'66/03-66/05
    メラニン一族講談社MT 236 鉄腕アトム 16 109p2011少年'66/05-66/08
    ミーバ四次元の少年講談社MT 236 鉄腕アトム 16 97p2011少年'66/09-66/12
    宇宙放送講談社MT 237 鉄腕アトム 17 22p1210鉄腕アトムクラブ'65/12,66/01
    人面岩 *講談社MT 237 鉄腕アトム 17 19p1710鉄腕アトムクラブ'66/02,66/03
    顔のないロボット講談社MT 237 鉄腕アトム 17 62p811少年'67/01,67/02
    一億年前の犯罪講談社MT 237 鉄腕アトム 17 89p1012少年'67/03,67/04
    ゾロモンの宝石講談社MT 238 鉄腕アトム 18 164p1312少年'67/05-67/12
    火星から帰ってきた男講談社MT 238 鉄腕アトム 18 65p1112少年'68/01,68/02,68/03
    サンゴ礁の冒険 21少年54/08/15 夏休み大増刊号
    アトム誕生 * 111975
    鉄腕アトムのおいたちと歴史 講談社MT 389 手塚治虫エッセイ集3(手塚治虫漫画全集別巻7) 14,201976


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    Faculty of Economics
    Kagawa University

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