SPSS ときど記(61〜70)

SPSSを使っていてトラぶったところや変な出力や裏技表技の便利な使い方を中心に書き留めてみる。何回話題があるかわからですが,時々書きます。(Keizo Hori
最終更新日: (2000/7/19から)

(51)〜(60) ときど記(メニュー)へ (71)〜(80)

  1. SPSS ときど記(70) 2000/ 8/25 分散分析 参考書
  2. SPSS ときど記(69) 2000/ 8/15 検定試験 SPSS能力試験
  3. SPSS ときど記(68) 2000/ 8/ 8 サポート e-mailによるサポート開始
  4. SPSS ときど記(67) 2000/ 8/ 7 分散分析 分散が等しくない場合の多重比較
  5. SPSS ときど記(66) 2000/ 8/ 4 SPSS SPSSの強さと弱さ,SPSSへの要望
  6. SPSS ときど記(65) 2000/ 7/28 CATPCA オブジェクトスコアの欠損値が.000になっている
  7. SPSS ときど記(64) 2000/ 7/27 PRINCALS オブジェクトスコアの保存がおかしい
  8. SPSS ときど記(63) 2000/ 7/24 マクロ ユニックス用マクロをwindows 用マクロにするスクリプト
  9. SPSS ときど記(62) 2000/ 7/22 検索エンジン 新しい情報を得る検索エンジン
  10. SPSS ときど記(61) 2000/ 7/19 マクロ Welch W test と Brown Forsythe F* test

SPSS ときど記(70) 2000/ 8/25

分散分析 参考書

SPSSの分散分析が複雑になって分かりにくくなっている。どのオプションを使うのが適切か分かりにくい。SPSSの使用例もでていて,しかも最近のAPAの投稿規準の動向(Wilkinson et al., 1999)とも合致する本がでた。

Tabachnick,B.G. and Fidell, L.S. (2000). Computer-assisted research design and analysis. Allyn and Bacon.

この本のcopyright は2001年になっているぞ。

データは
http://www.abacon.com/tabachnick/

table of contents を見れば内容はわかるでしょう。

わかりやすい簡単な理論的説明と計算式とその数値例がついている。そして,最後にspss, sas, minitab, systatの統計パッケージのsyntaxと出力があり,全体の復習をする。各パッケージで出力できるかどうかの表があり,それぞれのパッケージの利点・弱点が分かる。また,論文の記述例もある。

multiple comparison が索引になくあせったが,post hoc analysis だった。
p129 にはchoosing among post hoc analyses という表がある。ここでは type of comarison(complex, pairwise), equal n?( yes, no), homogeneity of variance?(yes, no), number of error df(75 or more, less than 75)で test を選ぶようになっている。このように間違いなく選択できるような配慮がなされている。

SPSSの説明だけでは分かりにくい,variance component の使い方もでている。

ちょっと高いですが分散分析をよく使うなら持っていると便利でしょう。

《引用文献》
Wilkinson, L. and Task Force on Statistical Inference (1999). Statistical Methods in Psychology Journals:Guidelines and Explanations. American Psychologist, 54, 594-604.

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SPSS ときど記(69) 2000/ 8/15

検定試験 SPSS能力試験

SPSSの検定試験β版が公開されている。
http://www.brainbench.com/links/tobetahome.jsp
SPSS10 power user を選ぶ。いくつか情報を入れて次に進み Assessment Directions を読み,Begin Assessment を選ぶ(Take Practice Assessment は練習問題だが,SPSSとは関係のない問題なので疲れるだけだ)。各16問の2つのモジュールがあり,途中で休みをいれることもできる。英語版の問題なのでハンディはある。しかもメニューに関した問題が多いので,メニューになれていない人はつらい。私はつらかった。特にモジュール1は。

最後に評定といままで受験した人での順位(%)がでる。結果はe-mail でも即座に送られてきた。

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SPSS ときど記(68) 2000/ 8/ 8

サポート e-mailによるサポート開始

SPSSジャパンがe-mail によるサポートを開始した。
http://www.spss.co.jp/support/index.htm
http://www.spss.co.jp/support/formmail.htm
あれ,なんか思っているのと違うかな。

>新規のご質問はこちらのフォーム
>(http://www.spss.co.jp/support/formmail.htm)
>からお送りいただくか、またはこのフォームの項目内容をメールに記入して
>jpsupport@spss.com までお送りください。

ということだから,almail32 ならspssサポート用のテンプレートを作ってそれを送ればいいのだ。

前々から不満に思っていたことが一つ解消されました。一つ便利になりましたね。

そういえば,
SPSS ときど記(66) 2000/ 8/ 4 SPSS SPSSの強さと弱さ,SPSSへの要望
においてサポートの話が抜けてました。
SPSSのサポートは (1)テックラインに電話,またはfax
(2)今回のe-mail
(3)英語ならSPSSのメーリングリスト spss-l (なお,このspss-lの累積記録へのアクセスができなくなっている)
(4)nifty のフォーラム spss 。但し,SPSSからの回答はほとんどない。
(5)英語なら spss.com ページのfaq およびthe SPSS AnswerNet
(6)日本語でhttp://www.spss.co.jp/support/faq.htm

など,SPSS 関係リンク集参照のこと

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SPSS ときど記(67) 2000/ 8/ 7

分散分析 分散が等しくない場合の多重比較

SPSSの分散分析の多重比較のオプションに「等分散が仮定されていない多重比較」があることを忘れていた。Tamhane の T2, DunnettのT3, Games-Howell, Dunnettの C の3つがある。アルゴリズムはアルゴリズムの付録10(ftp://ftp.spss.com/pub/spss/statistics/spss/algorithms/ap10post.pdf)にある。なお,DunnettのT3 はアルゴリズムではTamhane のT3 になっている。これらはすべて,グループサイズが等しくない場合にも適用できる計算をしている。

文献には言及されていないが,
Hochberg,Y. and Tamhane,A.C.(1987). Multiple comparison procedure. NY:Wiley.
のようである。Games-Howell, DunnettのC,T2, T3についてはp188-189にある。

Dunnett のCはあくまでGames-Howell と同じように多重比較するものである。

T2は Sidak+Welch, T3は Kimball+Welch, Games-Howellは TK(Tukey-Kramer)+Welch
Dunnet の CはCochran仕様

特徴についてはHochberg and Tamhane(1987)およびToothaker(1991)参照のこと

SPSS ときど記(61) 2000/ 7/19 マクロ Welch W test と Brown Forsythe F* test
SPSS ときど記(33) 2000/ 5/31 分散分析 固定効果の多重比較
http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/delphistat/index.html#multicomp

も参照してください。

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SPSS ときど記(66) 2000/ 8/ 4

SPSS SPSSの強さと弱さ,SPSSへの要望

今年(2000年)の行動計量学会大会に呼ばれてSPSSについて少し語ることになった。
ついでにSPSSに対する要望も加えて,
読み物にしたので読んでみてください。なにか意見があればe-mail ください。spss社の方の反論も歓迎します。

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SPSS ときど記(65) 2000/ 7/28

CATPCA オブジェクトスコアの欠損値が.000になっている

すでにSPSS ときど記(64)でのべていることだ。64のシンタックスを走らせればわかるが,オブジェクトスコアを保存すると,オブジェクトスコアが欠損値になるはずの場所に .000つまり 0が入る。バグである。

非常に危ないので,オブジェクトスコアを保存する場合,欠損値を含むデータを削除してから処理するほうがいい。

SPSSジャパンには連絡済み。

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SPSS ときど記(64) 2000/ 7/27

PRINCALS オブジェクトスコアの保存がおかしい

option のcategories の中にある PRINCALS のオブジェクトスコアの保存が困ったちゃんだ。全ての値がシステム欠損値の場合,PRINCALS はListwise にそのケースを削除する。そのように処理しなかったケースにもオブジェクトスコアが入ってしまう。つまり,最初のケースから順番にオブジェクトスコアを入れる。だから,結果として,ただしくオブジェクトスコアとケースが対応していない。もし,3つ処理しないケースがあったとすると,最後の3つのケースにはオブジェクトスコアが入らない。それがたとえ処理したケースであったとしてもだ。これはPRINCALS にのみおこり,その後継のCATPCA では正しく処理される。と思ったら .000 が入ってますね。欠損値にしないといけないのに。拙作数量化3類スクリプトでちゃんとできることがなんでできないの。SPSSのオプションのくせに。

次のシンタックスを走らせてみてデータを見てみよう。

おっと走らせてみると仕様がだいぶ変わっていることが分かりますね。大きな変化は,ユーザ指定の missing value の取り扱い。princals はこの値が正ならば指定が無視されていた。しかし,catpca では指定が有効になってます。catpca ではmissing value があるとlistwise に削除されます。

計算精度もcatpca のほうがいいです。princals で /CONVERGENCE = .0000001 と指定すると結果が同じになります。同じにするためには上のmissing value の取り扱いの変更があるので,missing value の指定を* でコメントアウトして,再度全部走らせてください。

それにしても出力が大幅に入れ替えられています。

data list fixed/ caseid x1 x2 x3 1-8.
missing values x3 (3).
begin data
01 1 1 2
02
03 1 1 2
04 2 1 3
05 2 2 2
06 2 1 2
07
08 2 2 2
09 2 2 1
10 2 2 2
11
12
13
end data
PRINCALS
/VARIABLES=x1(2) x2(2) x3(3)
/ANALYSIS=x1(ORDI) x2(ORDI) x3(ORDI)
/DIMENSION=2
/PRINT FREQ EIGEN LOADINGS QUANT
/PLOT QUANT OBJECT NDIM(ALL,MAX)
/SAVE = (2)
/MAXITER = 100
/CONVERGENCE = .00001 .


CATPCA
VARIABLES=x1 x2 x3
/ANALYSIS=x1(WEIGHT=1,LEVEL=ORDI) x2(WEIGHT=1,LEVEL=ORDI) x3(WEIGHT=1
,LEVEL=ORDI)
/MISSING=x1(PASSIVE,MODEIMPU) x2(PASSIVE,MODEIMPU) x3(PASSIVE,MODEIMPU)
/DIMENSION=2
/NORMALIZATION=VPRINCIPAL
/MAXITER=100
/CRITITER=.00001
/PRINT=CORR LOADING
/PLOT=OBJECT (20) LOADING( CENTR ) (20)
/SAVE=OBJECT .


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SPSS ときど記(63) 2000/ 7/24

ユニックス用マクロをwindows 用マクロにするスクリプト

ユニックスのSPSSのマクロおよびシンタックスは行の最後にピリオドがない。行頭から始まれば次の命令になる。逆に行頭が半角空白ならば継続行となる。Windowsの場合は.(ピリオド) があればその命令が終わることになる。両者共通に空白行があればその命令は終わる。

この違いのためユニックスのSPSSのマクロまたはシンタックスを直接Windowsで走らせることができない。ユニックスのSPSSのマクロまたはシンタックスをWindows用に変換するスクリプトが標準でついている。SPSSフォルダの下の\Scripts\Recently Added\ にある Terminate Syntax with Period.sbs である。

シンタックス窓に変更するマクロまたはシンタックスを読み込んで,このスクリプトを走らせればいい。


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SPSS ときど記(62) 2000/ 7/22

検索エンジン 新しい情報を得る検索エンジン

以前(SPSS ときど記(52))にSPSS macro の検索エンジンとしてgoogle.com を紹介した。この検索エンジンは非常にいい。

新しいとこころを探すのになにがいいのか?

私のところに来ているロボットでは goo が3日に一度来ている。しかし,「ときど記」を検索すると,goo では「ときど記メニュー」しか引っかからない。goo には goofresh なるものがあるが,これでも同じだ。どうなってるの? なんのためにrobot を派遣しているのだろうか?

その点 fresheye のほうは「SPSS ときど記」で検索すると5件ひっかかった。ちなみにメニューはひっかからない。

ただし,これはそれほど高頻度に来ているわけではない。例えば 「spss ときど記(11〜20)count: 283」は2000/7/16の前は 2000/5/3 である。

goo と goofresh は何らかの方法で取捨選択をしているのであろう。それによって,SPSS ときど記の本文のほうは落とされている。それなら3日に一回もくるなよといいたい。もしかしたら,私のページはすべて作成日がわからないのでそのためかもしれない。作成日がわからないのはshtml で作成しているためだ。

なお,検索ソフトのリンク集として検索デスクがお薦め。

また,私のページを検索したい方は学内のNamazu による全文検索システムがいい。毎日更新してます。

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SPSS ときど記(61) 2000/ 7/19

マクロ Welch W test と Brown Forsythe F* test

一元分散分析(固定要因)において,等分散でないときの分析法のWelch W test と Brown Forsythe F* testのマクロが公表されている。今はメーリングリストのSPSS-L において配布されているだけだが,近日中に
www.spss.com のマクロのところに公開される予定だ。作者はspss社の David Nicols氏。

固定要因の一元分散分析は正規性の仮説および等分散の仮説に関してかなり頑健である。Myers and Well(1995)によると,サンプル数が(ほぼ)同じ場合,最大の分散と最小の分散とが4:1(以上でもといっているが言い過ぎだろう),サンプル数が異なる場合には,2:1 におさまれば,通常のF検定にすべきだとのこと。Keppel(1991) は3:1以下といっている。

数値例は意外とでていない。Welch W test は岩原(1957), Myers and Well(1995), Milliken and Johnson(1992) にでている。Brown Forsythe F* test は Myers and Well(1995)にでている。Myers and Well の数値はBMDP により処理したものである。

また,このテストに関する注意は Myers and Well(1995) および岩原(1957),Keppel(1991),Maxwell and Delaney(1990)などにでている。とくに,正規性の仮定のviolation については頑健でないので注意を要する。

SPSS ときど記(44)分散分析 被験者間要因で前提を満たさないときの処理法も参照のこと。

《引用文献》
岩原信九郎(1957). 教育と心理のための推計学 日本文化科学社
Keppel,G.(1991). Design and analysis: A researcher's handbook. Prentice-Hall.
Maxwell,S.E. and Delaney,H.D.(1990) Designing experiments and analyzing data: A model comparison perspective. Wadsworth. Milliken,G.A. and Johnson,D.E.(1992). Analysis of messy data: vol.1. designed experiments. Chapman & Hall.
Myers,J.L., and Well,A.D.(1995). Research design & statistical analysis. Lawrence Erlbaum Associates.
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