消費者調査法(第3回)


最終更新日: counter: (2000/4/27からの累積 )

第2回へ メニューへ 第4回へ

10/15課題回答例

復習課題:次の課題はマーケティング課題ですか調査課題ですか?
(1)低成長期における商品タイプの分析
(2)ブライダル需要の研究
(3)生活文化と家電製品
(4)ホームオートメーションに対するユーザーの要望点
吉田正昭ほか『マーケティング・リサーチ入門』有斐閣新書(1983)から


現実調査へ−基本計画


調査の構想を具体化していく。

(1)調査課題の細分化(質問単位の抽出)
(2)調査法(実査法)の決定
(3)調査規模の決定
(4)調査費・日程の決定

これらの作業の検討(決定)順位というものはない。そのときどきの状況による。

1.調査課題の細分化−調査項目の抽出と質問単位


調査課題の細分化

質問単位例
「最近1ヶ月間の購入マヨネーズ名」
「講読(宅配と今週のスタンド買い)新聞名」
→この質問単位は、質問文に直結する。

調査課題例
「新製品の受容性と把握」(大きい)
「ファイブ・ミニの購入動機」(小さい=>調査項目との区別は定かでない)

「トヨタ・クラウンのシェアを測る」 調査課題
シェアを知るための
「購入の有無」「所有の有無」 調査項目

調査方法の影響
訪問面接調査と電話調査では調査項目が異なってくる。

調査の不可能な課題や項目を排除することは重要。
何でも聞けばいいというわけではない。ナマのテーマを調査可能なテーマに変換する。
質問に直接答えても嘘が入る。実際の自分の心理をつかめない。そんな考え方自体しない。
「あなたの友達はどうですか?」「マインドシェア(例。自動車といって一番最初に想起するブランド)」


表 商品購入プロセス
吉田正昭ほか『マーケティング・リサーチ入門』有斐閣新書(1983) p45
行動プロセス調査項目例
必要性必要性の有無、必要者、理由
購入欲求購入欲求の有無、提唱者、購入希望理由、候補メーカーと理由、候補銘柄と理由、銘柄の認知・理解度、購入希望時期
購入計画事前検討の有無、検討者、参考情報の種類と入手経路、検討期間、予算、商品の特性の理解内容、特性重視点、比較検討メーカー、銘柄、比較検討ポイント、銘柄最終決定理由、銘柄決定者、銘柄変更理由
購入購入経験の有無と銘柄、購入商品名(容量、タイプ、機種を含む)、購入商品の定価と実際の購入価格、支払方法、購入数(量)、頻度、時期、購入者、購入場所(店)と選定理由、指定・推奨の有無、新規購入、再購入、買増購入、買替購入、非購入理由
使用(保有)使用経験の有無と銘柄、期間、入手法(購入、贈答)、使用機会、使用場所、使用回数、頻度、使用時間、使用期間、使用者、使用経費、使い分け法、使用中止理由
評価満足点、不満足点、故障の有無、故障個所、修理代、アフターサービスの有無と評価、今後の商品使用意向、今後の使用銘柄と理由、購入予定時期


2 調査法から実査法へ


実査法の種類と特徴

(1)訪問面接法
(2)留置法(とめおき)
(3)郵送法
(4)電話法
(5)集合法
(6)グループ・インタビュー
(7)観察法

さらに
(8)インターネット調査法
(9)e-mail調査法
(10)Fax 調査法

朝野・上田(2000)では,ギャングサーベイ(イベント会場に集めて調査),CLT(central location test, テスト会場を設け,個別面接),HUT(Home use test, 例。成人用紙おむつを家で試用,日記等をつける),観察調査が挙がっている。

和田若人氏推薦順位
(1)まず、訪問面接法を考える(精度の点)
(2)量が多いと、留置法か面接・留置法の併用
(3)調査対象者が広く点在しているとき、労力、コスト、日程を考え、郵送法か電話法
(4)2,3日あるいは1週間程度で結果をみたいときは、電話法か集合法
(5)時事のトピックスについては電話法に限る。「昨日の地震に際して主婦はどうしたか」


回収率
訪問面接法
留置法
70%程度
郵送法5〜50%(15%)
回収率を上げるように「粗品呈上」等の工夫
電話法70%程度またはそれ以上
1回のコールでは20%程度


会員制テニスクラブの入会金

3.調査規模の決定

(1)地域の選択
(2)調査対象者(サンプル)
「首都圏(30キロ圏)に居住する18歳から59歳までの男女個人を対象に」
「オーディオ・テープのユーザ」
(a)母集団
(b)調査対象者
(3)サンプル数の決定
精度、回収率、解析方法、調査項目、予算、日程などが関係する。

誤差などを考慮する。統計学によるサンプル数決定。
《参考引用文献》
吉田正昭・和田若人・仁科貞文『マーケティング・リサーチ入門−消費者のこころを測る』有斐閣新書(1983)

朝野煕彦上田隆穂(2000).『マーケティング&リサーチ通論』講談社サイエンティフィク
第2回へ メニューへ 第4回へ

堀 啓造(home page)